研究実績の概要 |
平成29年度には、二元系化合物に最も出現する6種類のAET(CN4(SZn);CN6(NaCl), CN12(L10, L12);CN14(CsCl, NaTi))に対して、元素番号34まで、絶対零度、圧力と温度の同時に解析を行った。平成30年度には、データの蓄積を中心として系統に原子配置タイプの解析を続いた。(1)前年度の対象である6種類のAETの計算を続き元素番号37-52の計算を行った。(2)元素番号34まで、前年度対象以外のCN14までの13種類の原子配置タイプの解析を実行した:CN4(C)、CN5、CN6(CoO, CrN, AsNb)、CN8、CN10、CN12(Mg, Cu, AuCd,Cu3Ti)、CN14(BiF3, MoSi2)。有限温度での原子振動についてDebye近似を用いました。(3)多形構造をの化合物に対して、構造間の関連性を調べた。例えば、ZrO2は3種類の構造(基底構造 m-ZrO2-mP12、中温相t-ZrO2-tP6 及び高温相c-ZrO2-cF12)があり、2650K以上で安定な高温相dである立方晶は強い動力学的な不安定性があるため、フォーノン振動スペクトルに虚数の振動頻度が現れて熱力学物性を求める際に大きな困難をもたらす。関与する原子の波動ベクトル(体対角線方向)に沿って小さな変位を与えることで虚数の振動モードの消去に成功した。原子変位後の結晶構造は無変位の蛍石構造に離れたが、AETタイプは同じであることが分かった。つまり、原子配置のAETタイプは各結晶構造の本質的な特徴を抽出して構造をグループして、同じAETグループである異なる結晶構造間の繋がりを反映できる結晶構造分類法と理解できた。(4)元素周期表に同じグループに所属する元素から構成される化合物のシリーズ(例えば、TiO2, ZrO2, HfO2, CeO2)に対して、構造間関連性を着目して計算を行い検討した。
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