研究実績の概要 |
本研究は、二元系化合物群を対象として、電子構造計算とクラスター展開法、フォノン振動解析、もしくはDebye近似を組み合わせた手法により、従来の群論に基づく結晶構造分類に一般化された原子配置タイプ(AET: Atomic Environment Type)の電子論解析を行う、二元系におけるAETの全面的な情報を取得する。今年度には、広範な系を計算すると共に、特徴がある系に対して詳細な解析も行い、研究は広さと深さを両方に展開した。主な結果か以下になる。(1)元素番号37-52の二元系化合物に対して、一番頻繁に出現する6種類のAETから13種類の原子配置タイプに展開して電子構造の解析を実行した。(2) 有限温度での原子振動についてDebye近似を用いて振動自由エベルギーを求めたが、フォーノン解析が進行中である。(3)3d, 4d遷移金属元素に関して、4G-6G元素(Ti, V, Cr, Zr,Nb,Mo)と7G-11Gの元素(Mn-Cu, Tc-Ag)の2つの元素グループの間に特徴的な原子配置タイプを要するのを発見した。4G-6G元素の間の二元系はCN14(Rhombic dodecahedron)タイプ固溶体、7G-11Gの元素の間の二元系は CN12(cuboctahedron) タイプ固溶体しかない、その2つ元素グループの間にはCN14とCN12の規則相が形成されていることが明らかになった。有効クラスター相互作用の計算から、4G-6G、7G-11Gのそれぞれの元素グループの元素の間に強い引力の対相互作用であるのに対して、その2つグループの元素の間に弱い対相互作用があるのがわかり、これは特徴的な原子配置タイプが形成された原因と考えられる;(4) ケーススタディとして多種類の結晶構造を持ちSiO2に対して基底状態、温度、圧力下の7種類の結晶構造の原子配置タイプを解析した。
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