研究実績の概要 |
酸化ガリウム(99.999%)を成形後1500℃で焼成して棒状に加工し、直流2端子法により電気伝導度を700,、800および900℃で酸素分圧を変えながら測定した。焼成体の気孔率は35%と大きく、焼成体内への雰囲気の拡散は容易と思われる。700℃での電気伝導度は酸素分圧が1気圧の時に約10-5 S/cmで800℃では約一桁大きくなったが900℃では800℃より若干大きくなる程度であった。いずれの温度でも酸素分圧が1気圧から10-5 気圧とそれより低い段素分圧で傾きが異なり、低酸素分圧側では電気抵抗の酸素分圧依存性が小さくなった。いずれも酸素分圧が低くなると電気抵抗が大きくなるn型酸化物半導体の特性を示した。また、雰囲気の酸素分圧を変えた後の電気伝導度変化は急激な変化とその後のゆっくりとした変化があり、800℃では10時間以上経ても変化は続いていた。このゆっくりとした変化は900℃の時の方が長時間継続した。 さらに酸化チタンを添加した焼成体も作製して同様の試験を行った。酸化チタンを5%添加して1500℃で焼成すると酸化ガリウム単一相となり、添加した酸化チタンは全て固溶することが分かった。また気孔率は15%であった。この試料を棒状に加工し、800℃で酸素分圧を変えながら伝導度を測定した。酸化チタンを添加すると約1桁電気伝導度が大きくなり、酸素分圧が1気圧では10-3 S/cm であった。電気伝導度はドープしても同様に酸素分圧に依存し、ドープしたチタンイオンからキャリアを生成すると言う機構ではないことが分かった。 硝酸ガリウムを原料として薄膜を作製した。溶液にポリビニルアルコールを添加すると膜厚が厚くなり、室温での比抵抗も小さくなった。薄膜ではチタンドープや窒素中熱処理によって比抵抗を小さくすることはできなかった。
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