研究課題/領域番号 |
17K06795
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寒川 義裕 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (90327320)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 窒化アルミニウム / 溶液成長 |
研究実績の概要 |
深紫外の高輝度光源、特に発光波長260nm以下の光源は細菌のDNA破壊に有効なため殺菌・浄水用光源として利用されている。現状では水銀灯タイプの光源が用いられているが、小型化、環境負荷の低減のためにAlGaN深紫外LED(Light Emitting Diode)による代替光源の開発が進められている。しかし、AlGaN深紫外LED素子の基板材料には昇華法、HVPE法を用いて作製された高価なAlN単結晶が用いられているため、素子単価が高くなり、既存ランプの置き換え、シェアの拡大が思うように進まない状況にある。本研究ではAlGaN深紫外LED用のAlN/サファイアテンプレートの新規作製方法を開発する。具体的には、サファイア基板上への(1)Al厚膜の堆積、(2)Li3N粉末の塗布、(3)アニールによる自己組織化AlN結晶薄膜の創製を行う。 平成29年度までにAl真空蒸着装置の導入およびサファイア基板上へのAl蒸着膜の堆積を行った。真空蒸着装置のヒーターと坩堝の材質と形状、電圧・電流条件などを検討し、2インチサファイア基板上に膜厚3ミクロンの均質なAl厚膜を堆積する条件を見出した。平成30年度はAl/サファイア上にLi3N粉末を塗布し、高温熱処理によるLi3NからAlスパッタ膜上へのN輸送およびAlN結晶化を試みた。スパッタAl膜の膜厚、膜質、Li3N粉末の分量、アニール温度などを検討したが、現行の熱処理装置では温度(熱量)が不足していることがわかり、ヒーターの改良を行うこととした。平成30年度末までにヒーターの改良を終え、平成31年度から成長条件の最適化を再開する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現行の熱処理装置では温度(熱量)が不足していることがわかり、ヒーターの改良が必要となった。装置改良により実験が中断したため当初計画よりやや遅れることとなったが、ヒーター改良は平成30年度末までに完了おり、研究期間終了までには当初計画の目標を達成できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
スパッタAl膜の膜厚、膜質、Li3N粉末の分量、アニール温度などを再検討し、条件の最適化を引き続き行う。得られたサンプルの微細構造評価、物性評価を行う。具体的には、X線回折装置(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)による構造評価を計画している。また、カソードルミネッセンス(CL)での物性評価も計画している。以上の評価結果を基に高品質・高均一AlN/サファイアテンプレートの創製技術を確立する。
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