深紫外の高輝度光源、特に発光波長260nm以下の光源は細菌のDNA破壊に有効なため殺菌・ 浄水用光源として利用されている。現状では水銀灯タイプの光源が用いられているが、環境負荷の低減および小型化の観点から代替となるAlGaN深紫外LED(Light Emitting Diode)の開発が進められている。しかし、AlGaN深紫外LED素子の基板材料には昇華法により作製された高価なAlN単結晶あるいはHVPE法により作製されたAlN厚膜が用いられているため、低コスト化が困難であり、既存ランプの置き換え・シェアの拡大が思うように進んでいない。本研究では、AlGaN深紫外LED用のAlN/サファイアテンプレートの新規作製方法を開発し、素子の低コスト化に寄与する。具体的には、(1)Al厚膜の堆積、(2)Li3N粉末の塗布、(3)アニールによる自己組織化AlN結晶薄膜の創製を行う。 平成29年度までにAl真空蒸着装置の導入およびサファイア基板上へのAl蒸着膜の堆積条件を明らかにした。平成30年度までにAlを蒸着したサファイア上にLi3N粉末を塗布し、高温熱処理によるLi3NからAl蒸着膜へのN輸送およびAlN結晶化を試みた。また、最高到達温度を上げるための装置改良を行った。平成31年度は、改良装置を用いて成膜条件(アニール温度、Al/Li3N比)の最適化を行った。実験により以下の知見を得た。(A)ステップ2で塗布する原料はLi3N粉末のみでなくAl粉末とLi3N粉末の混合物とする必要があること、(B)アニール温度は1200℃から1250℃が必要であること。
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