研究課題
昨年度に明らかにした触媒活性サイトや反応メカニズムに基づいて、今年度はFe-N添加カーボンナノウオールおよびナノカーボンの生成制御とその触媒活性の測定をおこなった。さらに、それを用いた単セルの作製とその特性評価を行った。結果として、単セルの作製および特性評価に成功した。しかし、そのセル特性は、昨年測定されたFe-N添加ナノカーボン触媒の本来の活性が得られておらず、セル作製手法の改善が必要と考えられる。特に、触媒と電解質膜(ナフィオン)との混合手法がセル特性に大きな影響を与えることがわかった。実用化に向けて、少なくとも混合手法の最適化が必要であると考えられる。一方で、動作環境の温度を考慮して、CNWの温度特性といった基礎物性やその構造に基づいた新たな触媒開発の予備実験も行った。CNWの熱膨張係数の温度依存性の測定は初めてのものであり、CNWの構成要素であるドメインサイズに強く依存するユニークな膨張係数が観測された。特に、室温以下で観察されるグラファイトのベーサル面の関わる負の膨張係数が、CNWのドメインサイズの減少とともに室温以上で見られることを明らかにした。これは、グラファイトの負の熱膨張係数の制御にもつながり、応用に向けて重要な知見となると思われる。また、金属酸化物に関してはCNWを鋳型にしたFe、Si、Tiの酸化物ナノウオールの生成に成功した。この酸化物触媒は、CNWのドメイン構造を反映したユニークな形態を保持しており、高い触媒活性の可能性もあり、今後の発展が期待される。
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