研究課題/領域番号 |
17K06807
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
齋藤 紀子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20354417)
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研究分担者 |
渡邉 賢 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90552480)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ガスセンサ / 酸化亜鉛 / 溶液プロセス |
研究実績の概要 |
近年のガスセンサには、従来の安全・安心に貢献する警報器だけでなく、健康・環境の分野や、より快適な暮らしや持続可能な社会の構築に期待が高まっており、小型化、省エネ化、モバイル・ウェアラブル機器への実装化が求められている。その実現には、材料の基礎的な理解と、その機能を最大限に引き出した高性能化、デバイス応用への課題の解決が必要である。半導体ガスセンサには、酸化スズ、酸化亜鉛などの半導体セラミックスが広く使われているが、センサ感度向上のためには、表面制御が重要であり、様々な形状の粒子の開発が盛んである。 本研究では、六角錐ピラミッド型の酸化亜鉛粒子のガスセンサ応用について検討した。この粒子を用いたガスセンサデバイスを作製し、粒子の結晶面がセンサ特性およびガス脱着特性に及ぼす影響を調べた。 水とエチレングリコールの混合溶媒を用いるソルボサーマル法により、(0001)面を底面に、{1-10-1}面を側面に持した六角錐ピラミッド型の酸化亜鉛粒子を合成し、粒子のキャラクタリゼーション、ガスセンサ特性を測定し、粒子作製条件の最適化を検討した。その結果、これまでの酸化亜鉛粒子に比べて、極めて高いエタノールガスへのセンサ感度を達成した。また、(0001)面を底面にした六角錐ピラミッド型の酸化亜鉛粒子の結晶面がセンサ特性に及ぼす影響を知るために、結晶面の異なる粒子を作製し、結晶面のセンサ特性への影響、ガス脱着特性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化亜鉛粒子の合成とセンサ特性評価を行い、センサ作製条件の検討と、結晶の極性の影響について調べた。
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今後の研究の推進方策 |
貴金属や金属酸化物ナノ粒子のレセプタ付与は、半導体ガスセンサの特性改善に効果的と考えられており、感度向上や、ガス選択性の向上が期待できる。PtやPdなどの貴金属、酸化ランタン、酸化タングステンなどの酸化物ナノ粒子を付与し、センサ特性向上への最適な条件を探る。 また、呼気アルコールセンサや呼気健康診断の実用化のためには、水蒸気の影響が無視できない。呼気相当の水蒸気が存在すると、感度が1桁以上低下すると考えられている。また、酸化亜鉛は水への溶解度が高く、水蒸気下での耐久性を検討する必要がある。水蒸気発生装置をセンサ測定装置に組み込み、加熱下でのセンサ測定を行い、呼気センサの可能性について検討する。 ガス選択性など実用化課題への対策を図るため、酸化亜鉛粒子への貴金属および金属酸化物ナノ粒子の付着の、センサ特性向上への効果について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた物品費や旅費は、所属機関の研究費で支払ったため、次年度使用額が生じた。翌年に参加する国際会議旅費と、ガス購入費に使用する予定である。
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