近年のガスセンサには、従来の安全・安心に貢献する警報器だけでなく、健康・環境の分野や、より快適な暮らしや持続可能な社会の構築に期待が高まっており、小型化、省エネ化、モバイル・ウェアラブル機器への実装化が求められている。その実現には、材料の基礎的な理解と、その機能を最大限に引き出した高性能化、デバイス応用への課題の解決が必要である。半導体ガスセンサには、酸化スズ、酸化亜鉛などの半導体セラミックスが広く使われているが、センサ感度向上のためには、表面制御が重要であり、様々な形状の粒子の開発が盛んである。 本研究では、六角錐ピラミッド型の酸化亜鉛粒子のガスセンサ応用について検討した。この粒子を用いたガスセンサデバイスを作製し、粒子の結晶面がセンサ特性およびガス脱着特性に及ぼす影響を調べた。 水とエチレングリコールの混合溶媒を用いるソルボサーマル法により、(0001)面を底面に、{1-10-1}面を側面に持した六角錐ピラミッド型の酸化亜鉛粒子を合成し、粒子のキャラクタリゼーション、ガスセンサ特性を測定し、粒子作製条件の最適化を検討した。その結果、これまでの酸化亜鉛粒子に比べて、エタノール、アセトン、イソプレンなどの呼気中還元性ガスへの、極めて高いセンサ感度が得られた。ピラミッド型酸化亜鉛粒子のガスセンサ特性への、結晶面の効果を確かめた。 この酸化亜鉛粒子への貴金属ナノ粒子の付着の、センサ特性向上への効果について調べ、レセプタ粒子付着によって、感度向上とガス選択性に効果があることを確かめた。水蒸気の影響についても検討し、高湿度でも呼気相当濃度のガスの検知が可能であることを示した。また、金粒子担持のイソプレンガスへのガス選択性への効果を示した。
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