研究課題
非晶質リン酸カルシウム(ACP)の優れた生体内溶解性に着目し、ACP膜を担体として活用したTi製硬組織代替デバイスの骨適合性向上を目指す。昨年度までに、骨形成タンパク質であるBMP-2をACP膜上に担持すること成功し、擬似体液中へのBMP-2の徐放も確認することができた。一方、硬組織代替デバイスの一つである歯科用人工歯根においては、口腔内細菌の付着によるインプラント周囲炎が問題となっている。そこで、AgをACPに担持し徐放させることで抗菌性の発現を目指した。昨年度までにAgおよびACPの溶解性抑制元素であるTaを供添加したTa/Ag-ACP膜作製方法を確立できた。今年度はTa添加量が溶解性および抗菌性に及ぼす影響を調査した。Ta濃度の異なる3種類のTa/Ag-ACP膜を作製し、大腸菌液を用いた繰り返しシェーク法による抗菌性評価を行った。所定濃度の大腸菌液中に試料を6時間培養し、その後、新しい菌液に試料を移し替えた。この操作を繰り返し各菌液中の生菌数を測定した。いずれの試料においても、最初の6時間培養では生菌数は0となり抗菌性を示した。一方、2回目以降の繰り返し培養では、Ta無添加および低濃度Ta添加Ag-ACP膜においては生菌数の減少は見られなかったのに対し、高濃度Ta添加Ag-ACP膜は4回目の繰り返し培養まで生菌数は0となり、抗菌性を発現した。高濃度Ta添加Ag-ACP膜は繰り返し培養においても抗菌性を発現したことから、生体内においても長期間の抗菌性発現が予想される。過剰なAgイオン溶出は細胞毒性を示す。そこで、ISO 10993-5に準拠して細胞毒性試験を行った。Ta無添加および低濃度Ta添加Ag-ACP膜は細胞毒性が見られたが、高濃度Ta添加Ag-ACP膜においては細胞毒性は無いことが確認された。
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