研究課題
バイオフィルムは細菌の活動によって材料表面に形成される薄膜状の物質であるが,医療から腐食現象まで,様々な問題を引き起こすことが知られており,その解決,対策は重要である.そのためには,バイオフィルムを的確にモニタリングすることが重要と考える.本研究では,新素材グラフェンに注目し,バイオフィルムセンサーとしての適用を考え検討を重ねた.初年度は(2017年度),単層グラフェンのバイオフィルム感受性を中心に検討した.2016年にグラフェンの高いバイオフィルム感受性を研究室で発見していた.これを元に,初年度は,バイオフィルム形成を様々な手法を用いて確認を行い,同じ炭素材料でもグラファイトに比べてさらに高いバイオフィルム感受性を示すことを確認した.次年度(2018年度)は,グラフェンのバイオフィルム感受性の評価方法の一つであるクリスタルバイオレットによる染色法に注目し,これを用いたモニタリングの可能性を検討した.この方法は,JIS, ISO化が検討されている方法であり,工業現場において実余暇が可能となる可能性があった.染色によって得られた色空間における数値が,バイオフィルム形成能と比較的良い相関を示したため,この手法を用いたモニタリングは可能であると判断している.しかし,in-situなモニタリングは困難である.これに対して最終年度はグラフェン界面のインピーダンス変化に注目した.バイオフィルムを形成させた試料を,開発したジグを解して界面のインピーダンスを測定した.容量と周波数の関係に注目し,一連の測定を行い,一定の周波数で,ピークが得られることが明らかとなった.これは誘電損失に関する現象であり,バイオフィルム中のEPS(細胞外重合物質)が電磁波を非可逆的に吸収してスピン共鳴が起こることに起因すると考えている.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (21件) (うち国際共著 15件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 10件、 招待講演 11件) 図書 (4件) 備考 (5件) 産業財産権 (1件)
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