研究課題/領域番号 |
17K06827
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山脇 正雄 呉工業高等専門学校, 電気情報工学分野, 教授 (70700128)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 3Dプリンタ積層造形 / CFRPプリフォーム成形 / ホットプレス処理 / ロボットアーム形成 |
研究実績の概要 |
3Dプリンタでプリフォームを形成し金型を用いて小型部品を整形することを基本に研究開発を実施してきた.立体折りしてプリフォームを形成する方法の検討では,小さな部品レベルでは平面的な造形物を精度良く立体折することが難しく,6軸ロボットアームを用いて,おおまかな初期形状を立体造形で形成し,その後金型で最終的な形状に仕上げることが有効であることがわかってきた.ロボットアームでCFRPの立体造形できる装置は購入できないため,装置とその制御プログラムを開発することにした.まずCFRPフィラメントを用い平面的な基本形状を造形できることを確認した.更に繊維を立体的に配置するためには積層方向の精度をあげることが必要であることが解り,制御ソフトの改善などにより,簡単な立体的な造形物を試作することができた.また,ロボットアームを利用すると造形する形状によってはアームの動作範囲を超える可能性があることがわかり,ステージを回転させる機構を採用した.これらの成果をまとめて学会で発表した. 一方,ターゲットとなる小型部品としては,CFRPと金属などの異種接合技術としてボルトなどの締結部品が望まれていることがわかり,ボルトの試作を行うことにした.3Dプリンタでねじ山となる繊維を配置させ,金型を用いたホットプレスで最終的な形状に仕上げる.試作を繰り返した結果,リファレンスとなる強化繊維入り射出成形樹脂ボルトと同程度の強度が得られることがわかった.更に強度を改善する必要があり,解析を行った結果,改善すべき点が明確になり,現在改善実験を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットアームを用いた3Dプリンティング技術は,材料としてCFRPフィラメントを用いて立体造形を行うことが必要であり,装置の条件設定などを微調整できる機能の追加や位置精度を確保するための補正方法を検討.またステージを回転させる機構を採用し,3Dプリンタとして実用的に使用できるレベルであることが確認できた. 小型部品への適用という視点からCFRPのボルトを開発することにし,3Dプリンタを利用して精密にねじ山を作るための繊維配置を検討し試作を行っている.まずはその初期ターゲットとなる樹脂ボルト並みの強度が実現できることがわかった.実用的には更なる強度改善が必要でありその検討を行っており,改善の方向性がわかりつつある. これらロボットアームの仕上がり状況や小型部品の開発状況から,おおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
ロボットアームを用いた3Dプリンタの更なる高精度化として,レイアップする下地となる位置情報を精密に測定するための計測器を実装し,ロボットアームの制御にそのデータを補正値として用いることにより確実な造形ができることを目指すことを検討している.造形形状に沿って自動的に補正値を測定することにより,確実な造形が可能となり,実用化段階の造形ができることになると考えている. またボルト強度の改善には,3Dプリンタの改造まで必要になり,装置改造と最適形成ができるようにプログラミングの開発を行う.この改善を適用し,さらにCDRPフィラメントの配設にも工夫を行い,実用的な強度のCFRPボルトを製造する技術として仕上げる予定である. これらの成果は,更なる次のターゲットに展開できるものと考えており,新たなターゲットに向けて要素的な試作を行うことにする.特に適切な強度を実現するために材料の削減やそれに最適な繊維配設の方法を検討し,そのフィージビリティスタディーを行う.研究協力者との連携して,シミュレーション環境の立ち上げと,試作品によるその検討を行う予定にしている.
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由としては,海外渡航費および旅費の使用が計画を下回ったことである.特に海外渡航費は成果の海外発表を目指していたが,成果に対する適当な発表の場が無かったためである.2019年度はこれまでの成果をまとめて発表を目指すこととしたい.
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