昨年度までは具体的な小型部品のターゲットを試作することにより研究を進め、基本的な技術を開発していたが、まだプリフォーム形状の精度や造形装置的には改善する必要があり、最終年度である今年度はこれらのテーマとして研究を進めた。 現状のCFRP材料を適用しているプラスチック製小型部品を調査した結果、短繊維のCFRPペレットを射出成型で形成しているため強化繊維の配設を制御することができないため、製品としての強度改善には十分に寄与できていないことが分かった。今回は0.2-0.4mm程度の比較的長い短繊維強化のCFRPフィラメントを開発し、3Dプリンタで積層する試作を行った。その結果、積層パスに沿って繊維の配設することができ、引張試験片での強度として100MPaが得られた。これまで利用してきた連続繊維強化のフィラメントでは600MPa程度の強度であるが専用の装置が必要であったため製造コストが非常に高かった。今回は汎用的な3Dプリンタで繊維方向をそろえる積層造形ができることになり、従来ブラスチックの5倍程度強度が実現できており新たな適用分野に展開できると考えている。 更に今年度もロボットアーム型3Dプリンタ実用化として、高精度化の検討を行った。真の立体造形を精度よく行うために、3Dプリンタのヘッドにレーザー変位計を装着し積層厚さを高精度で調整できるようにプログラムの開発を行った。連続強化繊維を用いた試作の結果、積層膜厚として0.1mm以下の精度で安定的な制御ができることが確認できた。これまでの研究開発を組み合わせることにより、用途によって連続繊維と短繊維を使い分けた積層が可能となった。今後はこれらの成果を利用して新たな適用製品の試作を実施する予定である。
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