令和元年度は,前年度に続き研究項目(1) 複合化ポーラスアルミニウム(Al)コアサンドイッチ構造の作製法の確立,(2) 単一および複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の強度評価法の構築 を実施した. 研究項目(1)では,昨年度,アルミニウム合金ダイカストADC12とアルミニウム合金A6061の二層を持つ複合化ポーラスAlをコア材,A1050を表面材とした長尺型複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の作製可能性が示唆された.しかしながら,溶融温度の異なるADC12とA6061の各層の気孔形態や厚みを同程度に制御することは難しく,それらを制御する作製条件の検討を継続して試みた.その結果,発泡剤量,保持時間の調整だけでは不十分で,それらに加えてプリカーサ(発泡前駆体)厚みを適切に設定することにより各層厚み,気孔形態が均一となる複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造が作製でき,曲げ試験に供することが可能となった. 研究項目(2)では,表面材とコア部間に境界層を設けた単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造の弾塑性有限要素解析を試みた.解析で得られた曲げ(引張り)応力,せん断応力を基に,曲げ試験で現れた引張りによる破損位置,せん断による破損位置が推定でき,引張りの破損限界は,ADC12ポーラスAlの引張り試験で得られた限界値とほぼ一致することを示した.この解析法を,コア部内のADC12とA6061の各層間に境界層を設ける形で,複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造に応用展開することができた. これまでの試験および解析結果を基に,単一・複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造のいずれに対しても,引張り型破損では表面近傍の曲げ(引張り)応力,せん断型破損ではせん断応力の最大値を用いた,破損形態に対応した破損基準を導出することが可能となった.
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