研究課題/領域番号 |
17K06868
|
研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
古井 光明 東京工科大学, 工学部, 教授 (90262972)
|
研究分担者 |
會田 哲夫 富山大学, 大学院理工学研究部(都市デザイン学), 教授 (20283062)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ねじり・ねじり戻し加工 / マグネシウムパイプ / 微細・ランダム組織 |
研究実績の概要 |
環境調和性が高いプロセス制御型材料加工研究の一環として、ねじりのせん断を利用して曲げ半径が小さい高性能マグネシウムパイプを創製する、ねじり・ねじり戻し管材加工プロセスを開発することを目的として、微細・ランダム組織の形成メカニズムの解明と共に、平成29年度に実施できなかったAZ91Dマグネシウム合金パイプを用いた、ねじり・ねじり戻し加工のパラメーターの最適化を行った。最適化されたパラメータに準じて加工したAZ31Bマグネシウム合金パイプについて、SEM/EBSDおよびXRDを用いて、結晶方位,結晶粒径,結晶粒形状を明らかにした。平均の結晶方位差は約14°とランダムな再結晶粒組織を呈しており、その粒径は約3μmとなった。結晶粒の長軸と短軸の比で表されるアスペクト比はほぼ1である。曲げ角度60°の回転引き曲げ試験を行った結果、室温での曲げ半径の割合(曲げ比)は2.0程度となり、目標の1.0を達成することはできなかった。また、AZ91Dマグネシウム合金パイプに対して種々のパラメーターを組み合わせたねじり・ねじり戻し加工を実施した。パイプの表面状態やミクロ組織,硬さを測定した結果、安定したねじり・ねじり戻しが可能な温度393K,回転速度1rpm,回転角度360°の最適加工条件を見出した。アルミニウムの含有量が異なる2種のマグネシウム合金パイプはいずれも、同じ最適条件で適正なねじり・ねじり戻し加工ができることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度はねじり・ねじり戻し管材加工プロセスの開発として、ねじり・ねじり戻し加工に伴う微細・ランダム組織の形成メカニズムの解明を目標に掲げた。平成30年度の研究計画・方法と照合した結果、この目標は概ね達成できたと考えられる。なお、SEM/EBSDおよびXRDを用いた、パイプの広範囲・局所領域の結晶方位解析に時間を要したため、微細・ランダム組織の形成メカニズムの解明や室温での曲げ比1.0の実現には至らなかった。令和元年度に実施する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、最適な条件下でねじり・ねじり戻し加工した2種のマグネシウム合金パイプを用いて引張試験や硬さ測定を行い、機械的性質や表面性状を明らかにする。また、曲げ比1.0をクリアする加工条件の最適化やチャック爪,コア材などの仕様を再検討する。平成29年度から令和元年度までの研究を通じて、微細でランダムなミクロ組織を呈し、良好な特性を持つマグネシウム合金パイプを製造する、ねじり・ねじり戻し加工プロセスを開発する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末に発注した実験消耗品の納品,支払いが次年度になったため、150,471円の次年度使用額が発生した。次年度のパイプの特性評価を実施するために必要な、引張試験治具の購入や、引張試験片の加工費等に充てる。
|