環境調和性が高いプロセス制御型の材料加工研究の一環として、均一かつ大量のせん断ひずみを付与する「ねじり・ねじり戻し管材加工プロセス」を開発することにより、マグネシウム合金パイプの曲げ半径極小化を成し遂げることを目的とした。平成29年度では、マグネシウム合金パイプの安定したねじり・ねじり戻しが可能なチャックを設計すると共に、回転速度,回転角度などの加工条件を検討した。平成30年度では、それらの条件によって加工したマグネシウム合金パイプのミクロ組織や結晶方位,硬さ分布などの機械的性質を明らかにすると共に、より良い性質を有するマグネシウム合金パイプを得るための加工条件を設定した。また、最終年度となる令和元年度では、マグネシウム合金においてしばしば問題となる引張と圧縮の降伏応力の比は、0.25の一方向せん断ひずみを与えることにより、ほぼ等しくなることを明らかにした。また180°ねじり,180°ねじり戻しにより、引張と圧縮の降伏応力比は0.98を達成した。225°のねじりまでは、引張応力が作用する曲げの外側に顕著な割れが発生したものの、せん断ひずみが0.27を超えると、パイプの外側や内側に割れやつぶれのない良好な曲げ加工が実施できることを明らかにした。 本研究を通じて、ねじり・ねじり戻し管材加工プロセスは、加熱に頼ることなくマグネシウム合金パイプの健全な曲げを達成する有効な方法であることを示した。
|