研究課題/領域番号 |
17K06869
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川口 健次 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (40744769)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ナノ/アモルファスハイブリッド酸化物 / 電気化学触媒 / 酸素発生反応 / 電解プロセス / 省エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究では、消費電力の削減が課題である工業電解プロセスの省エネルギー化を可能とする低酸素過電圧を特徴とした「ナノ/アモルファスハイブリッド触媒」を取り上げ、この電気化学触媒の水溶液からの酸素発生反応に対する触媒活性の発現機構を明らかにすることを目的としている。 この触媒は、水溶液からの酸素発生に対して高い触媒活性を持つナノサイズの酸化物粒子(二酸化イリジウム:IrO2や二酸化ルテニウム:RuO2)が全く酸素発生に対して活性を示さないアモルファス(非晶質)の酸化物マトリックス(五酸化二タンタル:Ta2O5)中に高分散したハイブリッド構造である。この構造とすることにより、水溶液からの酸素発生に対する過電圧(酸素過電圧)の大幅な低減、すなわち電解プロセスにおける消費電力の大幅な削減が可能となる。 当該年度は、酸素発生に対して高い触媒活性を持つことが明らかとなっているRuO2に着目し、RuO2触媒層およびRuO2-Ta2O5触媒層の熱分解法による作製において、様々な熱分解温度や時間などの条件を検討した結果、以下の成果を得た。 (1)RuO2触媒層については平均粒径が約5 nm~約20 nmの範囲で異なる4種類の触媒層の作製に成功した。 (2)RuO2-Ta2O5触媒層についてはTa2O5マトリックス中に分散したRuO2粒子サイズが10 nm以下の触媒層と20~50nmの粒子で構成される触媒層の作製に成功した。 今後は、作製した電極の電気化学測定から、RuO2粒子のナノメートルオーダーでのサイズの違いが酸素発生反応の触媒活性に及ぼす影響を明らかにすることが十分期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、RuO2触媒層およびRuO2-Ta2O5触媒層の熱分解法による作製において様々な熱分解温度や時間などの条件を検討し、触媒層中のRuO2粒子サイズ・粒径分布を制御することを当初の研究計画としており、予定通りの進捗である。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、触媒層中のRuO2粒子サイズが異なる電極を用いて電気化学測定を行い、RuO2粒子サイズの違いが酸素発生反応の物質移動過程および電荷移動過程に及ぼす影響について研究する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より早く研究が進行した場合に次年度の研究計画を前倒しで実施することを想定して装置の購入を予定していたが、計画通りの進行となったため次年度での購入を予定している。 次年度は、装置に加えて試薬・金属材料など消耗品の購入、国内学会・国際学会での研究成果発表の旅費・参加費としての使用などを予定している。
|