研究実績の概要 |
Aサイトに種々の希土類元素(M=La, Nd, Sm, Eu, Gd, Yb)を持つペロブスカイト型酸化物(MFe0.7Mn0.3O3,以後MFMOと称す)を調製し,アンモニア酸化能を三相界面を有しNafion膜で隔てた2室式セルを用いて低温(~100℃)下で評価した.なお,生成物はガスクロマトグラフィと陽イオンクロマトグラフィで定量した. 合成した触媒の表面形状を電子顕微鏡にて観察したところ,LaとDyに置換した触媒では,表面に空孔を持つ触媒が合成され,Sm,Eu,Gdに置換した触媒については,1次粒子が焼結することによってできた2次粒子を持つ触媒が合成されたことが明らかとなった.この中でも,表面に空孔を持つLaFMOとDyFMO触媒に関しては表面積が1.5 m2/g以上と他の触媒と比較して大きいことが明らかとなった.また各触媒において表面上の原子が均一に触媒上に存在しているため,表面形状によらず各触媒ともMFeO3にMnが固溶されていることが明らかとなった. 合成したMFMOにおいて75℃での電解では,原子番号が大きくなるにつれてアンモニアの生成速度が向上していることが確認され,この事から,アンモニアの生成速度には格子定数が影響していることが示唆された.特に合成した触媒中で活性が良かったDyFMO触媒の75℃と25℃での-1.0 V vs. RHEの活性を比較すると25℃のほうがアンモニアの生成速度が速く,水素の生成が少なかった.このことから,過電圧が大きい条件では低温のほうが競争反応である水素の生成速度が抑制され,アンモニアの生成速度が増加することが示唆された.
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