研究課題/領域番号 |
17K06874
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
棗 千修 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (80632752)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 凝固 / データ同化 / データサイエンス / 凝固組織 / 鋳造 / セルオートマトン法 |
研究実績の概要 |
多くの金属材料は凝固過程を経て製造されており,その凝固組織は材料特性へ大きな影響を与えるため,高精度な凝固組織予測法の確立が望まれている.本研究では,凝固組織シミュレーションで用いる試行錯誤的操作により評価するパラメータ(熱伝達係数,核生成確率変数)をデータサイエンスの一手法であるデータ同化を用いて自動推定できる凝固組織形成シミュレーションモデルの構築を行う.加えて,機械学習・深層学習による凝固組織推定技術を利用した凝固組織マップ(凝固条件と凝固組織の関係図)作成法の可能性を検討する. 初年度は,底部水冷型一方向凝固における1次元凝固伝熱解析での熱伝達係数をデータ同化(粒子フィルタ)により推定する基本ソースコード(マクロスケール計算コード)の開発を行い,Al-Si合金の実測冷却曲線を精度良く再現する熱伝達係数の推定が可能であることを確認した.本年度は,底部水冷型一方向凝固での熱伝達係数推定の成功を受け,マクロスケール計算コードをより広範な条件で適用可能にするために,砂型鋳造のような複数方向に抜熱する場合(3次元凝固伝熱)の熱伝達係数推定モデルの開発に着手した.熱伝達係数推定を単純に3次元化すると計算コストが膨大となり,現実的な計算時間では推定が困難になるため,鋳型近傍の実測冷却曲線のみを用いる1次元モデルの拡張モデルとして3次元モデルと構築した.また,熱伝達係数と熱伝導率を同時推定するモデルも開発し,モデルの妥当性を現在検討中である.最終年度は,セルオートマトン法による凝固組織形成シミュレーションに必須の核生成パラメータの自動推定モデルの開発を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定のデータ同化(粒子フィルタ)による熱伝達係数推定の基本ソースコード(マクロスケール計算コード)を開発し,実験結果を精度良く再現できるパラメータの自動推定が可能であることを実証し,概ね予定通りに研究は進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,複数パラメータの同時推定(熱伝達係数と熱伝導率の推定など)が可能なマクロスケール計算コードの妥当性評価を行うとともに組織形成シミュレーションに用いる核生成パラメータの推定モデル・コード(ミクロスケール計算コード)の開発を行う.また,機械学習・深層学習による凝固組織画像推定を利用した凝固組織マップ作成法の検討も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:物品費としておおむね計画通り使用し,端数が残額として生じたため. 使用計画:実験消耗品費,成果発表や情報収集のための国内外旅費として研究費を使用する予定である.
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