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2017 年度 実施状況報告書

無容器プロセスを用いた単結晶半導体と窒化物及び強磁性シリサイド新デバイス創製

研究課題

研究課題/領域番号 17K06878
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

永山 勝久  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (80189167)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード液滴溶融凝固法 / ドロップチューブ法 / ガスジェット浮遊溶融凝固法 / 液相エピタキシャル成長 / Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体 / 窒化物半導体 / 強磁性シリサイド半導体 / 磁性半導体
研究実績の概要

初年度となる平成29年度においては、本研究が目的とする無容器プロセスを用いた単結晶半導体と窒化物及び新デバイス創製に対し、特に,下記4つの項目を中心に実験と解析を行った。
(1)液滴溶融凝固法を用いた単結晶Siウエハ表面からのⅢ-Ⅴ族化合物半導体の液相エピタキシャル成長
(2)ドロップチューブ法を用いたSi-Ga-Sb混合融液からの微粒子生成と結晶成長
(3)ガスジェット浮遊溶融凝固法を用いたSi,Al,Fe表面の窒化物層生成
(4)ドロップチューブ法を用いた(GaMn)Sb単結晶磁性半導体新デバイス創製
(1)は、(100),(110),(111)の方位を有する単結晶Siウエハ上でInSbを液滴溶融凝固させ、ウエハ接触界面でInSbが液相エピタキシャル成長する可能性を検証する独自の研究であるが、(111)方位を有する単結晶Siウエハ表面で溶融凝固させたInSbはSiウエハの影響を強く受け、(111)方向への液相エピタキシャル成長をすることが示唆された。(2)は、Si-Ga-Sbからなる混合融液を落下部2.5mのドロップチューブ内で無容器凝固させた結果、広い組成域を有する微粒子試料全てにおいて、SiとGaSb化合物相のみが生成される結果が認められた。この際、Siは過冷度の影響を強く受け、デンドライトからセル状組織へ遷移するが、GaSbは過冷度の影響を受けない成長機構が示された。(3)は、試料の溶融のみに電磁力を使用し、浮遊と冷却全てをガスジェット流で行う独自の手法であるが、窒素ガスジェット流を用いて浮遊溶融凝固させた結果、Φ8mmのSi,Al,Fe各試料の表面に窒素原子が固溶する結果が認められた。(4)は、Gaの一部を反強磁性元素Mnで置換した(GaMn)Sb単結晶磁性半導体新デバイス微粒子創製を目的とした実験であるが、Mnを1.3%まで固溶する単結晶GaSb微粒子が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本申請課題は平成29年度から平成31年度までの3ヶ年の継続研究となるが、【研究実績の概要】に記したように、初年次において、申請者が独自に考案した手法を用いた、液滴溶融凝固法による単結晶Siウエハ上でのⅢ-Ⅴ族化合物半導体の液相エピタキシャル成長の可能性が示唆され、併せて,実験手法の妥当性も示されたものと考える。
内外共に研究例がない、ドロップチューブ法を用いたSi-Ga-Sb3元混合融液からの微粒子生成実験により、広い組成域でSiとGaSb相のみの生成が明確化され、併せて,Siは過冷度の影響を強く受けることが認められた。
また、浮遊融液試料(Si,Al,Fe)に窒素ガスジェット流を吹き付けて高過冷度状態で無容器凝固させた結果、試料の表面に窒素が固溶することが認められ、窒化層生成の可能性が示唆された。
さらに、内外共に報告のない、ドロップチューブ法を用いた融液からの磁性半導体単結晶微粒子創製を目的に実験と解析を行った結果、GaSb化合物相中に1.3%Mnが固溶される結果が明確化でき、併せて,磁性半導体単結晶微粒子が40%程度得られる結果が提示された。
上述のように、本申請研究の目的は、初年度において予想以上の結果が示され、現状の進捗状況は十分な達成度が得られていると考える。

今後の研究の推進方策

本申請研究の今後の推進方策を以下に記す。
(1)に記した、液滴溶融凝固法を用いた単結晶Siウエハ表面からのⅢ-Ⅴ族化合物半導体の液相エピタキシャル成長実験については、初年度においてInSbのみ液滴溶融凝固させたが、今後はGaSbを用いた実験を行い、Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体の液相エピタキシャル成長について実験と解析を実施する。なお、基板とⅢ-Ⅴ族化合物半導体の格子定数の整合性の改善を目的に、Siウエハ表面にC等をコーティングさせた基板を用いた液滴溶融凝固実験も実施することを計画とする。
(2)に記した、ドロップチューブ法を用いたSi-Ga-Sb混合融液からの微粒子生成と結晶成長実験については、Si及びGaSbの過冷度と結晶成長の定量的な関係解明を目的に、電磁浮遊炉とガスジェット浮遊炉を用いた無容器凝固実験を実施することを計画とする。
(3)に記した、ガスジェット浮遊溶融凝固法を用いたSi,Al,Fe表面の窒化物層生成実験については、EPMAを用いた窒素の定量的な固溶量を測定し、併せて,窒化層の厚み等について解析を行っていく。なお、今後は(1)で記した「液滴溶融凝固法」を用いた窒素ガス中での窒化物層生成実験を実施し、窒化物層生成に対する最適窒素ガス流量,反応温度,反応時間等についても検討することを計画とする。
(4)に記した、ドロップチューブ法を用いた(GaMn)Sb単結晶磁性半導体新デバイス創製実験については、今後は(GaFe)Sb,(InMn)Sb(InFe)Sb単結晶磁性半導体新デバイス創製実験を精力的に実施し、強磁性の発現について解析を行うことを計画とする。
なお、強磁性シリサイド半導体創製実験については、ドロップチューブ法を用いて、SiにFe,Ni,Co,Mn等の磁性元素を添加した微粒子生成実験を実施し、シリサイド生成と強磁性の発現について解析を行うことを研究計画とする。

次年度使用額が生じた理由

申請初年度の平成29年度において、物品費(実験消耗物品費)として配分された200万円から残額が生じたためである。従って、これを申請2年目に繰り越し、実験で使用する各種消耗物品費として使用し、本研究の目的遂行を目指す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 無容器プロセスを用いたFe-Cu二相分離合金の凝固過程と微細構造2017

    • 著者名/発表者名
      小林 旦、永山勝久
    • 雑誌名

      日本金属学会誌

      巻: 81 ページ: 251-256

    • 査読あり
  • [学会発表] 液滴溶融凝固プロセスを用いたⅢ-Ⅴ族化合物半導体の結晶成長とCrSb,MnSb強磁性微粒子創製2017

    • 著者名/発表者名
      柳 寿明、永山勝久
    • 学会等名
      日本金属学会2017年度(第161回)秋期講演大会
  • [学会発表] ドロップチューブおよびガスジェット浮遊溶融凝固法を用いたSiの過冷度と結晶成長2017

    • 著者名/発表者名
      藤井大樹、永山勝久
    • 学会等名
      日本金属学会2017年度(第161回)秋期講演大会
  • [学会発表] 無容器プロセスを用いたNd-Fe系非平衡相の高保磁力発現と局所構造2017

    • 著者名/発表者名
      蔵田奈緒、永山勝久
    • 学会等名
      日本金属学会2017年度(第161回)秋期講演大会
  • [学会発表] 浮遊落下高速圧縮法を用いたNd-Fe-B系永久磁石材料の高保磁力発現に対するCu添加効果2017

    • 著者名/発表者名
      渡部哲平、永山勝久
    • 学会等名
      日本金属学会2017年度(第161回)秋期講演大会

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公開日: 2018-12-17  

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