研究課題/領域番号 |
17K06886
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
三角 隆太 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究教員 (40334635)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 撹拌・混合 / 晶析 / CFD / 結晶摩耗 / 結晶凝集 / 二次核発生 / ポピュレーションバランス / 微粒子 |
研究実績の概要 |
(a) 撹拌型晶析装置においては、結晶粒子の凝集や、結晶が撹拌羽根に衝突することによって粒子が破砕・摩耗するという問題がしばしば発生する。この問題を解決するためには槽内の固体粒子の分散状態を把握したうえで、粒子の特性に応じた適切な撹拌条件を選定することが重要となる。そこで、固体粒子濃度の鉛直方向分布を数値流動解析(CFD)と連成したラグランジアン解析により定量化し、槽内の分散状態と粒子径、粒子密度および撹拌速度の関係について検討した。その結果、粒子濃度の鉛直方向分布の標準偏差は単一粒子の終末沈降速度u_t と翼先端周速度v_tip の比と相関性があることがわかった。さらに、完全浮遊化翼回転数n_jsも考慮することで、u_t / v_tip < 0.015 の条件では良好な分散となり、0.015 <= u_t / v_tip かつn > n_js の範囲については粒子条件にかかわらずu_t / v_tip を用いて鉛直方向の粒子濃度の分散状態の違いを予測できることがわかった。 (b) 結晶粒径の制御や予測のためには、微結晶生成量に対する結晶の種類や、摩耗による母結晶の角の丸み具合、撹拌操作条件の相互の定量的な関係を把握することが重要となる。本研究では、硫酸カリウムをモデル結晶として、母結晶が撹拌羽根に衝突するさいの摩耗現象への撹拌翼回転数の影響を定量化し、さらにカリミョウバンを用いた結果と比較した。その結果、カリミョウバンにおいては、母結晶の摩滅比率raと微結晶個数Nfは撹拌開始直後に急激に増加し、その後傾きは緩やかになる。一方、硫酸カリウムにおいてはraとNfは時間が経過しても徐々に増加し続ける。硫酸カリウムはカリミョウバンと比べて摩耗微結晶が生成されやすく、さらにraが大きくなっても摩耗微結晶が生成され続ける傾向があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマ(a)の固体粒子運動のラグランジアン解析については、日本海水学会にて成果発表を行った。テーマ(b)の結晶粒子の摩耗現象については、化学工学会にて口頭発表し、日本海水学会では成果発表し最優秀ポスター賞として表彰された。それらの結果について、化学工学論文集、日本海水学会誌に各1報論文投稿し、2報とも2018年5月までに受理され掲載が決定した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30, 31年度は、サブテーマごとに研究計画に従って研究を進め、得られた研究結果について、順次論文発表を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は順調に研究が進行したことから、2018年度分からの繰り上げ受給手続きを行ったため、2018年度への次年度使用額が発生した。研究計画は順調に遂行されており、次年度使用額は研究成果の発表のための経費として使用する予定である。
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