CO2リッチなアミン吸収液からCO2を放散し吸収液を再生する際の熱負荷の削減を目指し、酸性官能基修飾アルミナ粒子を用いた放散促進について研究を行っている。 多孔質活性アルミナ粒子に酸性官能基を修飾し、その粒子を充填した連続式固定床型反応装置を用いて酸性官能基による放散促進効果を調査した。昨年度行ったリン酸基修飾に加え、今年度はスルホン酸基修飾粒子を使用した。その結果、スルホン酸基修飾粒子の方がリン酸基修飾粒子よりも初期の放散速度が高く、放散促進効果が高かった。しかし、リン酸基修飾粒子と同様、時間の経過とともに放散速度が低下し、最終的には官能基未修飾粒子の放散速度よりも低下した。スルホン酸基修飾粒子の酸性官能基量は放散実験前後で大幅に減少していた。このことより、放散実験中に修飾した酸性官能基が脱離することが分かった。酸性官能基で表面修飾した粒子を充填することによりアミン吸収液からのCO2放散を促進できることが明らかとなったが、持続性を改善するためには、塩基性溶液中で脱離しない官能基修飾方法を確立する必要がある。 また、未修飾活性アルミナ粒子を充填した流通式の放散実験において、粒子充填層の充填長さを変えて行うことにより、反応管内部での放散速度分布を調査した。その結果、反応管全体に充填した場合の約7割の放散が吸収液が流入する反応管上部1/4の区間で起こっていることが明らかになった。また、本研究では下方からスイープガスを流入させることなく、放散されたCO2ガスは自然対流によって反応管上方から流出することを期待しているが、酸性官能基修飾粒子を使用した場合、下方より放散されたCO2ガスにより上部から供給された吸収液の流下が妨害され、フラッディングが発生することが確認された。CO2ガスの放散速度を考慮した装置設計、液流速などの条件設定が必要であることが示唆された。
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