研究実績の概要 |
紫外可視分光装置を2台用い、超臨界二酸化炭素に対する溶質の溶解度、超臨界二酸化炭素雰囲気下におけるポリマー中の溶質の拡散係数およびポリマーに対する溶質の溶解度を同時に測定する装置を作製した。装置の健全性を確認するため、ポリマーとしてポリメチルメタアクリレート、溶質としてDisperse Red 1を用い、40℃、10, 12, 15 MPaの条件で測定を行った。既往の研究の文献値と比較したところ、ほぼ一致した。超臨界二酸化炭素雰囲気下におけるポリメタクリル酸メチル中のアントラキノンおよび2-メチルアントラキノンの拡散係数を温度45、55℃、圧力10-21 MPaの条件で測定した。その結果、各温度において圧力が上昇するほど拡散係数も大きくなった。また、温度依存性は圧力によって異なり、高圧では温度が高いと拡散係数は大きいが、11MPa付近では温度が高いと拡散係数は小さくなった。また、アントラキノンと2-メチルアントラキノンの拡散係数の値は測定誤差範囲で同じくらいであることが分かった。拡散係数の相関のため、自由体積モデルを3成分系に拡張した。このモデルにより、拡散係数の測定値を良好に相関できることが分かった。 分子動力学シミュレーションを用いてポリエチレン+二酸化炭素+溶質(ブタン、シクロヘキサン、およびヘキサン)の3成分系の分子の軌跡および拡散係数を計算した。その結果、二酸化炭素および溶質の拡散は空隙での停滞と、近接する空隙へのジャンプ運動の繰り返しで進行していることが確認された。 当研究室で提案した新たな活量係数式を用いて活量係数と気液平衡の相関を行ったところ、高い精度で相平衡を相関できることが示された。さらに、新たな活量係数式にグループ寄与法を適用し、6つのグループのパラメータを決定したところ、様々な系の気液平衡を良好に計算できることが示された。
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