研究課題/領域番号 |
17K06895
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
森貞 真太郎 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60401569)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 粒子膜 / 高分子電解質 / 高分子ブラシ / 移流集積 / 非最密充填構造 / メゾレンズアレイ |
研究実績の概要 |
これまでの研究において,粒子膜作製手法の一つである移流集積法に,カチオン性高分子電解質poly(vinylbenzyl trimethylammonium chloride)(PVBTA)をフリーラジカル重合によって表面修飾したシリカ粒子(粒径数百nm)を適用することで,粒子間に間隔の空いた粒子配列(非最密充填構造)を有するコロイド粒子膜の作製に成功している.本研究では,表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)法を用いてPVBTAの鎖長と修飾密度を制御することにより,移流集積法によって得られる非最密充填コロイド粒子膜の粒子配列の規則性の向上,および粒子間隔の制御を目的としている.さらに,得られた非最密充填粒子膜を焼成 することで,シリカ粒子を一部溶融させることで数百nmのレンズが多数並んだメゾレンズアレイという新たな光学素子が実現できるか検討を行う.平成30年度に得られた成果は下記の通りである. 1.昨年度に引き続き,SI-ATRP法によるシリカ粒子へのPVBTAの修飾に取り組んだ.触媒であるCu(I)Brの添加量や溶媒の種類を変えて合成を繰り返し行った結果,フリーラジカル重合によって作製したPVBTA修飾シリカ粒子と同程度のPVBTA修飾量,および流体力学的直径を有する粒子を作製することができた.しかし,得られたPVBTA修飾シリカ粒子を用いて粒子膜の作製を試みたところ,単層の粒子膜を得ることはできたが,粒子同士が凝集してしまい,非最密充填構造の粒子膜を得ることはできなかった. 2.上記1と並行して,フリーラジカル重合で作製したPVBTA修飾シリカ粒子とガラス基板からなる非最密充填単粒子膜の焼成による,メゾレンズアレイ作製の検討を行った.973 Kで1~7時間焼成を行ったところ,焼成時間が長くなるにつれて粒子高さが減少することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,SI-ATRP法によるシリカ粒子表面へのPVBTAの修飾には成功し,それと並行して非最密充填単粒子膜を焼成し,メゾレンズアレイを得るための検討も並行して進めることができたことから,平成29年度の遅れを取り戻すことができたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,SI-ATRP法によるPVBTA修飾シリカ粒子合成を,様々な条件で行い,粒子膜作製に適用することで,粒子に修飾したPVBTAの構造と得られる粒子膜の関係について明らかにするとともに,メゾレンズアレイへの展開も進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度繰越額は6000円程度であり,今年度の予算使用状況はほぼ予定通りであったと考える.
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