研究課題
最終年度は2019年度であるが、実験装置の改良と部品調達の都合のため1年間延長し、混合系の粘度推算の開発と拡散係数の測定を行った。具体的には、拡散係数の相関式の開発に不可欠な混合流体の粘度の推算法の開発として、Eyringの式を基に、2成分系のパラメータを用いて、3成分系の液体粘度の推算法の開発と、同じくEyring式による高圧CO2+有機溶媒の混合流体の粘度の推算法を開発した。拡散係数測定では、まず溶質をibuprofenとし、超臨界二酸化炭素中における拡散係数をCIR法を用いて、308~353 K、圧力8.5~40 MPaの範囲で保持因子kと相互拡散係数を同時測定し、kの値からibuprofenの部分モル体積を算出した。他の溶質について報告されているように、部分モル体積は臨界点に近づくにつれて急激に減少した。CIR法で測定したkの値から部分モル体積を求め、CO2の密度の関数として相関する方法を提案した。本方法は、溶質の部分モル体積を推算する既往の方法と比べ、高い推算精度を有することを示した。また、拡散係数は超臨界CO2および液体ethanol中ともに流体力学相関式で精度よく相関できることを示した。Ibuprofenについては353 Kまで装置の健全性を確認し、373Kまでの高温下における超臨界CO2中における金属錯体acetylferroceneとdiacetylferroceneの拡散係数をCIR法により測定した。またPt(acac)2についても測定値の信頼性を確認した。これら金属錯体は343K程度までの低温域ではIbuprofenの場合と同じく、拡散係数は流体力学相関式を用いて精度よく相関できたが、より高温になるほど、低密度域で相関式との偏差が大きくなり、高温域では新たな推算モデル式が必要であることが分かった。
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The Journal of Supercritical Fluids
巻: 159 ページ: 111849
10.1016/j.supflu.2020.104776