研究実績の概要 |
本研究では、水素透過能を有するパラジウム膜を利用し、水電解・パラジウム膜を用いた水素分離・水素化反応による水の水素を利用した水素キャリア合成を行う効率的なシステムを開発することを目的としている。 今年度は、パラジウム膜電極による水電解と透過水素による有機物の接触水素化を行う装置を作成し、数種の化合物や触媒を用いた反応を行った。各実験における水素化反応性を評価することで、本手法の適用可能性の拡張を試みるとともに、改良型電極セルの作成に向けた基礎的データの蓄積を行った。 反応物として、トルエン、p-キシレン、フルフラールを電極セルに供給し、触媒層にて水素と反応させた。触媒として5wt% Pt/Al2O3, 5wt% Ru/Al2O3, 5wt% Pd/Al2O3, 5wt% Pt/Cを用いた。温度100℃にてフルフラ-ルについてPt/Al2O3, Ru/Al2O3触媒、p-キシレンについてRu/Al2O3,Pd/Al2O3触媒を用いて反応させた結果、水素化物は確認できなかった。トルエンについてはPt/C, Ru/Al2O3、Rh/Al2O3触媒を用いて反応を行った結果、Pt/Cにて水素化が進行して生成物としてメチルシクロヘキサンが得られた。60℃にてPt/C触媒存在下における接触時間とトルエン転化率の関係を評価した結果、接触時間の増大により水素化反応が促進されていた。既往のPt/Al2O3による水素化反応と比較したところ、Pt/Al2O3の反応性が高いことが明らかとなった。 また、改良型の電極セル作製に向けた電極セルの設計を開始した。
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