研究課題/領域番号 |
17K06902
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
佐藤 剛史 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (60375524)
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研究分担者 |
伊藤 直次 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90356478)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水素透過膜 / 水素化 / 電解 |
研究実績の概要 |
本研究では、水素透過能を有するパラジウム膜(Pd-Ag膜)を利用し、水電解・パラジウム膜を用いた水素分離・水素化反応による水の水素を利用した水素キャリア合成を行う効率的なシステムを開発することを目的としている。 今年度は、パラジウム膜電極による水電解と透過水素による有機物の接触水素化を行う既存の装置を利用し、ステンレスメッシュ上にPt/Al2O3触媒をウォッシュコート法にて担持させた構造体触媒を新たに作成し、それを約100枚重ねたものを触媒層とした水素化を行った。窒素バブリングにより反応物のトルエンを電極セルに供給し、触媒層にて水素と反応させた。反応温度は100~130℃とし、電圧は7Vとした。 その結果、Ad-Ag膜上にて水電解が進行し、生成水素が膜を透過して水素化反応が生じる透過側に供給されていた。その水素流量は、トルエン水素化反応に必要な化学量論比に対して常に1.4倍以上であり、水素は過剰に供給されていた。水素化の結果、生成物はメチルシクロヘキサンのみであった。接触時間の増加によりトルエン転化率は増大した。これは、低窒素流量域にて触媒と反応物の接触時間が長くなったことによるものと考える。また、同じ接触時間では温度上昇によりトルエン転化率が増大する傾向を示し、130 ℃で80%以上の値となった。 また、従来型セルよりも膜電極面積を増加させ電極間距離を短縮した改良型の電極セル容器を作製した。セルの耐圧チェックを行い、今後の使用に問題がないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、改良型の電極セル容器の作製に続き、セルに水溶液供給ラインやトルエン供給ラインも接続することで水素化システム全体を構築し、水素化能の評価を行う予定であった。次年度は水素化システム全体を構築し、水素化能の評価を行う予定で計画を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
改良型の電極セルに構造体触媒を導入し、新たな水素化システムを作製する。それを用いて、水素化反応速度の温度・接触時間依存性の評価を行う。さらに、既存装置との性能を比較することで、装置の最適化に向けた指針も示す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
改良型の電極セルに水溶液供給ラインやトルエン供給ラインも接続すること等によるシステム全体構築を次年度に行うため、この費用の一部が次年度使用額となっている。次年度は、この費用も含めてシステム全体の構築を行い水素化能の評価を行う予定である。
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