研究課題/領域番号 |
17K06914
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
清水 忠明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10211286)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 二酸化炭素分離 / 流動層 / 燃焼 / 酸化カルシウム / カルシウムルーピング |
研究実績の概要 |
本研究は、2塔式流動層粒子循環系でCaO粒子を高温で循環させた装置を使い、1塔で排ガス中のCO2をCaOに吸収させ、他の1塔で燃料を燃焼させた熱で吸収されたCO2を放出させるCO2分離プロセスの高度化を目指したものである。ここでは、燃焼を安定させるために、燃料が熱分解して発生したガス成分(揮発分)をCaO粒子が捕集して炭素析出物を生成する効果(容量効果)を用いることを提案した。 このプロセス条件で容量効果が実際におこることを実証するために、小型流動層実験装置を新た作成してCaO粒子と燃料(プラスチック粒子)を連続的に供給する実験を行った。ここで捕集されなかった揮発分は装置出口付近で燃焼してCO2に転化して測定した。CaO粒子が捕集した炭素を測定するために、炭素含有CaO粒子を酸素含有ガス中で燃焼し、生成CO2を測定した。この実験を行うことで流動層内での炭素捕集割合を評価した。 加えて、より現実のプロセスに近い2塔式流動層粒子循環系でCaO粒子を高温で循環させた装置を用い、一方の反応塔(再生塔)へ燃料を供給し燃焼させた。そのとき、循環CaO粒子に捕集された炭素は一部他方の反応塔(吸収塔)へ輸送された。この吸収塔ではCO2吸収をさせるために低温で運転する必要があったが、同時に炭素を燃焼させる際に生成したCO2はCaOに吸収されるため、CO2発生から炭素燃焼を評価することができない。そこで、炭素燃焼によるO2の消費で炭素燃焼量を評価した。容量効果がないことが分かっている石英砂を用いた実験結果と比較すると、容量効果のあるCaO粒子の方が酸素消費が多く、炭素がCaOに捕集されて輸送されたことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
容量効果が実際の2塔式粒子循環系で起こっていることが実証できたとともに、CaO粒子による炭素捕集が定量的に評価でき、おおむね目標を達成できたと思われる。特に、CaO粒子に伴って捕集された炭素が反応器から飛び出して別の反応器で燃焼する量を酸素消費から評価できたことは、本効果が実際に起こることを実証できたものと考えられる。なお、本プロジェクトでは揮発分捕集を主に研究しているが、装置内で燃料を燃焼する実験を行った際の窒素酸化物など汚染物質の生成特性がわかるなど、付随的な成果も併せて得られた。
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今後の研究の推進方策 |
計画書にある通り、異なった燃料・ガス供給方式を実際に試して炭素のCaOによる捕集効果への影響を調べるとともに、装置のモデル化に向けて揮発分捕集割合を予測する手法を確立するために、基礎的な揮発分捕集実験を継続して行う。
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