平成30年度は昨年の結果より、活性の高かったものについて詳細に調査した。その結果以下の3報の研究成果が得られた。 ①有機金属構造体(MOFs)は金属ナノ粒子の優れた担体であるが、これまで金属ナノ粒子とMOFsの相互作用は有機配位子の存在のために弱いということが通説であった。本研究では、熱変態による金属/ MOF複合材料の制御された脱リガンド化を通じて金属ナノ粒子と MOFの相互作用を強化するための戦略を提示した。MOFの制御された脱リガンド化は、多孔質MOFと金属酸化物との間に遷移状態構造を有する「quasi-MOF(準MOF)」の形成をもたらす。得られた金属/ quasi-MOF複合材料は、多孔質構造を保持するだけでなく、金属ナノ粒子(ここではAu)と無機ノード(MOF中のCr-O)との間の強い相互作用ができ、COの酸化反応の-80℃における転化率が100%と活性が劇的に向上した。 ②超微細Pd NPをナノポーラスカーボン担体に固定化する容易で効果的な方法として、系中溶媒交換型封じ込め法を開発し、SSISCAと名付けた。カーボンナノ細孔内に閉じ込められたPd NPは、ギ酸からの水素発生に対して高い触媒活性および選択性を有するだけでなく、60℃で9110h^-1という記録的に高いTOFを示した。 ③超微細PdAgナノ粒子を、有機金属構造体/酸化グラフェンから合成したジルコニア/多孔質炭素/還元酸化グラフェン(ZrO2/C/rGO)ナノ複合材料上に固定化することに成功した。単分散PdAg NP(直径≦2.5 nm)がZrO2/C/rGOに簡便に固定することができ、金属ナノ粒子の凝集を回避することができます。金属ナノ粒子と担体との間の相乗効果により、得られたPdAg@ ZrO2/C/rGOはギ酸の脱水素に対してTOFが60℃で4500h^-1という優れた活性を示した。
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