研究課題
超臨界圧流体に対する燃焼流解析コードを完成させた.常圧から100気圧という超高圧条件における燃焼流問題によってコードの妥当性と適用性を検証した.層流伝播火炎問題において,常圧条件では実験と良い一致が見られ,推進剤の臨界圧を超える100気圧では,燃焼速度が大きく低下する傾向をとらえた.水素火炎の当量比1.0では,常圧で約230 m/sに対し,60気圧で約55 m/s,100気圧で約35 m/sと大きく減少する.圧力とともに燃焼速度が低下することは一般的に知られており,解析コードの妥当性を示すものである.しかし,超高圧条件下での実験値は存在しておらず,実験や理論からの補強が必要といえる.燃焼速度における非理想性効果については,粘性係数,熱伝導率,拡散係数,状態方程式の組み合わせでその効果を抽出し,状態方程式および拡散係数が大きな影響を持つことを明らかにした.超高圧条件では,燃焼速度の低下とともに火炎厚さも大幅に薄くなり,使用する格子での適切な解像が困難になる.そこで,粗い格子でも燃焼速度を再現することができる火炎モデルを新たに提案し,超臨界圧火炎伝播問題に適用した.提案モデルは,拡散係数を大きくすることで火炎を人工的に厚くするが,化学反応率を小さくすることで,正確な燃焼速度を維持する考えに基づく.高次微分による局所性および動的特性から,伝播火炎以外の現象を妨げない優位な特長をもたせた.超高圧火炎で問題となる格子の問題を軽減させることに成功した.以上,本研究では,超臨界圧流体および燃焼流を解析できる新たなコードを開発した.超臨界圧流体では,非理想性熱・輸送物性の考慮が必要となるが,コードのサブルーチン化により,任意の解析コードに適用できる汎用性をもたせた.本解析コードを高圧燃焼流現象に適用し,ロケット噴射器の火炎保持機構や内燃機関ノッキング現象の解明などの成果を得ることができた.
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Aerospace Technology Japan
巻: - ページ: -
High-Pressure Flows for Propulsion Applications, Progress in Astronautics and Aeronautics
巻: - ページ: 567, 626
10.2514/5.9781624105814.0571.0630
ながれ
巻: 38 ページ: 435, 438