研究課題/領域番号 |
17K06941
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
舩津 賢人 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (50323332)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 航空宇宙工学 / 極超音速反応性流体力学 / ケイ素系耐熱複合材料 / 気泡生成 / 分光計測 |
研究実績の概要 |
スペースシャトル退役を背景に、我が国独自の宇宙輸送機による地上-宇宙間の定期的で安全な移動が社会的要請となっている。特に地球大気圏再突入では革新的な耐熱材料開発と高精度な空力加熱予測が求められる。本研究は、高エンタルピー流中の損耗が炭素系複合材料に比べて小さいケイ素系耐熱複合材料に着目し、気流と材料損耗に関わる未解明の材料内部の気泡生成と材料近傍の強い発光に焦点をあてる。開発中の先進的発光分光計測技術に超広ダイナミックレンジカメラを導入することで、気泡生成と発光を同時計測し、ケイ素系耐熱複合材料の非定常挙動を解明する。 本年度は、昨年度に引き続き、開発中の空間的時間的な発光強度分布を得る先進的発光分光計測技術(複数波長フィルター同時利用による簡易型ビデオカメラシステム)により、ケイ素系耐熱材料近傍の強い発光を計測した。これにより所望の二波長に対応する発光強度分布を取得し、その発光強度比分布から空間的時間的な温度分布を推定することができた。また複数の超広ダイナミックレンジカメラを試験的に導入し、発光強度分布の計測を試みた。ダイナミックレンジカメラとその光学系の調整や減光フィルターの選択(使用の有無も含め)に苦慮したが、材料表面から生ずる著しい発光と材料周辺部に生ずる微弱な発光の同時計測の可能性を見いだすことができた。試験的に導入したダイナミックレンジカメラの物理的な撮像限界の把握は試行錯誤的に行う必要があり、研究の進ちょく状況は「やや遅れている」が、適切な超広ダイナミックレンジカメラやケイ素系耐熱複合材料の選定を行い、研究計画に沿い、研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、「第二年度内に発光強度比分布をもとに強度比法により温度分布を推定する。またアーク加熱風洞による実証実験を試みる。」予定であったが、ダイナミックレンジカメラの物理的な撮像限界の把握は試行錯誤的に行う必要があり、その光学系の調整や減光フィルターの選択(使用の有無も含め)に苦慮したことから、研究の進ちょくは「やや遅れている。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、適切なケイ素系耐熱複合材料の選定を行い、先進的発光分光計測技術により、ケイ素系耐熱複合材料近傍の強い発光を計測する。適切な超広ダイナミックレンジカメラを導入し、内部(表面近傍)気泡生成と発光強度分布を同時計測する。また、表面温度分布推定のみならず、材料周辺部の微弱な発光強度分布を取得し、その発光強度比分布をもとに温度分布を推定する。さらには、アーク加熱風洞による実証実験を通じて、高エンタルピー流中のケイ素系耐熱複合材料内部の気泡生成と材料近傍発光の非定常挙動モデルを構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、「第二年度内に発光強度比分布をもとに強度比法により温度分布を推定する。またアーク加熱風洞による実証実験を試みる。」予定であったが、本年度は、試験的に導入した超広ダイナミックレンジカメラの物理的な撮像限界の把握は試行錯誤的に行う必要があり、その光学系の調整や減光フィルターの選択(使用の有無も含め)に苦慮した。そのため次年度に繰り越し、超広ダイナミックレンジカメラの具体的な選定および購入を予定している。
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