本年度は,前年度に試作した翼列複合型テスラタービンの試験装置を用いた実験,および,翼列複合型テスラタービンの出口流路設計に関する数値解析を行った. まず数値解析においては,ローターを出た後の流路設計について,従来型とどのように異なるのかを議論した.その結果,従来型では出口流の強い旋回成分を考慮してリング状の流路断面が最適であったのに対して,翼列複合型では出口流の旋回成分が弱まっているために,リング形状ではなく円管状の出口流路のほうが適していることを示した.また,その出口流路設計によって,等エントロピー効率に換算して最大5%程度の差が生じることが示された. 一方,実験においては,複合させる翼列形状について,コード長や翼枚数が異なるものを6種類用意し,それらを用いた実験を実施した.まず,翼列なしの従来型のディスクと比較したところ,6種類すべてのケースにおいて従来型よりも高い効率が達成でき,最大で7%程度の改善が得られたことが確認された.次に,翼枚数が異なる場合について比較したところ,30枚のものが最も効率が高く,15枚および45枚の場合については30枚の時に比べて効率が低いことが分かった.さらに翼コード長の影響について比較したところ,コード長5mmと7.5mmの場合の効率はほぼ同じであり,いずれも2.5mmの場合よりも高い効率を示すことが確認された. これらの結果は,前年度までに行った数値解析結果等は定量的には異なる結果となった.その原因としては,3Dプリンタによる造形において,物体形状のエッジがシャープになっていないことや翼前縁後縁が十分に尖っていないこと,ディスク表面が粗くなっていることによる粘性損失の増大が考えられた. 以上,数値解析と実験の両面から,翼列複合型テスラタービンの性能および特性を評価し,従来型と比べて翼列複合型テスラタービンが高い効率を示すことが示された.
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