研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、実験を伴う共同研究が困難で研究期間を2年間延長してきたが、最終年度として、これまでの研究成果のとりまとめを行った。 まず、低電力ガストンネル型プラズマ反応溶射について、主にチタン粉末を用いた1-3 kW級の低電力でプラズマ反応溶射実験により作製したTiN溶射膜, TiO2溶射膜の皮膜組織・構造、硬度など物理的性質についての研究結果をまとめた。ガストンネル型プラズマ反応溶射装置のノズル電極の内径が8 mmの場合、プラズマ入力3 kW(電流48 A、電圧57 V)、溶射距離40 mmの実験条件において、窒素+酸素の雰囲気中で5 g/min のTi粉末を10秒間溶射して作製した膜厚300ミクロンのTi複合コーティングの特性を再検討した。そのコーティングの組成はXRDによる分析から、Tiに加えてTiO2 及びTiNが含まれる複合コーティングとなっており、その反応性(酸化、窒化)については、雰囲気ガス(N2, O2)を変化させることにより、窒化によるTiN、酸化によるTiO2の形成をコントロールできることがわかった。また、1 kW級プラズマ反応溶射装置の反応溶射の効率を上げるための性能改善を検討した。この場合、より小さいガス流量100 L/min以下で、トーチ電極ノズル出口壁-中心軸の圧力差が約50 Torrの有効なガストンネルが得られ、750-1500 Wにおいてプラズマジェットの安定性の向上を確認でき、低パワー、小型化などプラズマ反応溶射の改善の指針が得られた。 以上の結果については、令和4年3月福岡で開催された第29回プラズマ応用科学会年会:IAPS2022において発表した。
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