研究実績の概要 |
産業用マイクロガスタービンは現在,発電機用や航空機用として広く用いられている.例えば発電機については,発電量30KW程度のものがすでに実用化されている.また,航空機で使用するには,推力2.9kN以上のエンジンが採用されている.一方で出力100HP以下の航空用ガスタービンエンジンは,商品化されておらずそのクラスの軽航空機,小型ヘリコプター及び無人機はピストンエンジンを利用し続けている. 当研究では,産官学連携によって開発した航空用マイクロターボエンジンの実用化に向けて,安定燃焼を実現するため旋廻と急加速による燃焼促進技術について研究をする.この技術を導入したアニュラ型燃焼器に送風し,燃焼試験を行い高速度カメラと一眼レフカメラを利用した観察と温度・圧力の時系列計測によって,振動燃焼の低減効果を確認する.さらに実験結果に基づき,旋廻・急加速型燃焼器の改良型モデルとこれを搭載した二軸式ターボシャフトエンジンの設計を完成する. 平成29年度は,産官学連携用燃焼器の設計を基に1/1円筒型燃焼器可視化実験装置を製作,燃焼の様子を一眼レフと高速度カメラで撮影を行った.例えば燃料流量2.33g/s付近での燃焼の様子を取り上げ,空燃比60,90,120と大きくしていくと火炎長は次第に短くなり,青炎に近づいていく様子を確認することができた.さらに燃焼実験に際して,排ガス分析装置(ホダカ製HT-2700)で排ガス測定も行った. 他に急加速型燃焼器の三次元数値解析を,連続の式,ナビエストークス式,エネルギー方程式,Kとεの輸送方程式,混合分率の輸送方程式,PDF法の輸送方程式,オイラーラグランジュ法を用いて行った.燃焼分布と温度の解析さらに,質量分率(燃料,O2,CO2)の解析を行ってみた.今後この解析結果を基に燃焼実験を行い,時系列で観察した時にどのような分布を示すのか測定したい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究室で製作した,アニュラ型燃焼器の可視化と急加速型燃焼器の数値解析にも着手できたことは,概ね順調に進展しているのではないだろうか.平成30年度も引き続きこれらの事を継続する. 平成29年度3月に,日本機械学会北陸信越支部第55期講演会において,「マイクロガスタービン用アニュラ型燃焼器の実験的研究」(講演番号D032),「無人航空機用マイクロガスタービンの燃焼排出物に関する実験的研究」(講演番号D033)の2件を発表できた事は,一つの成果である.
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