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2018 年度 実施状況報告書

プリカーサ現象を伴う超高速再突入飛翔体周りの非平衡プラズマ流の特性解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K06946
研究機関鳥取大学

研究代表者

川添 博光  鳥取大学, 工学研究科, 教授 (40260591)

研究分担者 山田 剛治  東海大学, 工学部, 講師 (90588831)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード衝撃波管 / 衝撃波速度 / 輻射光 / プリカーサ
研究実績の概要

昨年度実施した衝撃波背後のプラズマ流のイメージング分光計測によって、窒素プラズマ流中で主要な発光体の化学種を特定することができた。そこで本年度は、昨年度構築した極短時間での時間分解分光計測システムを用いて、窒素分子と窒素分子イオンの主要なバンドヘッド及び窒素原子線を対象として、衝撃波が観測部を通過する際の発光強度の時間分解計測を実施した。これより、従来の熱化学モデルに含まれる化学反応過程の検証に必要なデータを取得することができた。
同様に、昨年度開発した流れ場と輻射の連成解析ツールを用いて、発光強度の時間変化を数値的に計算して実験データとの比較検証を実施した。その結果、特に衝撃波前方領域において実験と計算に大きな違いが確認された。計測した発光強度は、いずれの化学種についても衝撃波前方領域から発光が始まり衝撃波面に近づくにつれて強くなる傾向にある。この結果は、従来の解析では考慮されていない熱化学過程や輻射輸送現象(プリカーサ現象)が衝撃波面前方で生じることを示している。
一方、衝撃波面後方領域に関しては、前方領域ほどの大きな差異は見られないが、計測した発光強度の減少の方が速い傾向にあることが分かった。これより、プリカーサ現象が生じることによって衝撃波背後での熱的緩和過程や化学反応速度が促進され、発光強度の減少が計算よりも速くなったと考えられる。
以上、本年度の研究成果により、プリカーサ現象を含めた解析モデルを構築することが必要であることが明らかになった。昨年度、成功しなかった衝撃速度の計測に関しても、発光現象を利用することで測定可能になったため、高速化に有効な条件の探索については引き続き実施している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度成功しなかった衝撃波速度の計測も本年度から可能になり、衝撃波速度の高速化の有効性検証をすぐに行える状態になったため。また、本年度行った極短時間の分解分光計測との連成解析により、化学反応過程の検証のみならずプリカーサ現象のモデル化に重要な実験データを取得でき、衝撃波前方で発生する反応過程について明らかにすることができたため。

今後の研究の推進方策

次年度は、本年度の研究で明らかになった衝撃波前方における熱化学過程を組込んでプリカーサモデルのモデル化を実施する。モデル構築後は、衝撃波管、膨張波管を用いた実験により数値解析モデルの検証とモデルの改善を実施し、最終的に目標とするプリカーサ現象を考慮した解析モデルを開発する。窒素及び空気を対象としてモデル構築を実施するが、もし困難な場合には、最初にアルゴンを用いてプリカーサ現象を組込んだ解析モデルを開発して実験的な検証を実施する。そして得られた知見を活かして窒素及び空気を対象としたモデル化に取り組んでいく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Nonequilibrium Radiation of Shock-heated Plasmas with Precursor phenomena2019

    • 著者名/発表者名
      Yamada, G., Kajino, M., and Kawazoe, H.
    • 学会等名
      AIAA Scitech 2019 Forum
    • 国際学会
  • [学会発表] Internal energy relaxation processes of nitrogen plasmas at different electronic states in an entry flight condition2018

    • 著者名/発表者名
      Yamada, G., Kajino, M., and Kawazoe, H.
    • 学会等名
      45th EPS Conference on Plasma Physics
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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