研究課題/領域番号 |
17K06956
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
樫谷 賢士 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (80535279)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 風洞試験 / 高揚力装置 / 点回折干渉計 / 空力特性 / 高分解能 |
研究実績の概要 |
平成30年度は,PDI(点回折干渉計)光学系による小型高揚力装置として注目されるガーネフラップを取り付けたスーパークリティカル翼型まわりの流れ場と,定量計測による翼面圧力係数の特性を実験的に明らかにした.また,異なった波長を光源としたPDI光学系による高分解能型PDIを構築し,衝撃波管翼型流れに適用することで,これまで取り組んできた光源波長532nmのPDIに対して,より低い波長である355nmによる翼型まわりの流れ場計測を実施した. 小型高揚力装置による翼型流れに関する研究では,間欠式の風洞として無隔膜衝撃波管を用いた.供試模型としてスーパークリティカル翼型(SC-0414翼型)を用いた.模型翼弦長は60mm,翼幅60mmのアスペクト比1.0で,翼型後縁下面にフラップ高さが翼弦長の1%と3%のものを準備した.実験マッハ数は,0.76から0.92の範囲でスイープさせ,レイノルズ数は衝撃波管による特徴を生かしてRe = 1.5×10^5の一定とした.実験結果より,Gurneyフラップが高いほど,翼上面ではフラップを取り付けないClean形状より,負圧が大きくなり衝撃波が後方に発生することが明らかになった. 次に,光源の波長355nmとしたPDIによる実験では,空力データベースが多くデータの比較検討が容易なNACA-0012翼型 (翼弦長70mm,翼幅60mm) を供試模型として用い,衝撃波管翼型流れの可視化および定量計測を試みた.PDI光学系は,光源波長が355nmのためピンホールプレートをはじめ撮影カメラやレンズを紫外光用として構築した.光源の波長355nmと532nmのPDIの干渉縞の検討から,波長355nmにより得られた干渉縞の次数は波長532nmよりも増加し,その増加数は干渉縞の理論と一致することを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 1.PDI法による翼型流れの可視化/定量計測による研究では,Gurneyフラップが高いほど,翼型のキャンバーが変化する部位で,翼上面ではClean形状より負圧が大きくなり,衝撃波は後方に発生する. 2.Gurneyフラップが高いほど,フラップの位置で急激な密度変化が生じ,翼面上の負圧が急激に大きくなる. 3.波長355nmにより得られたPDI画像の干渉縞の次数は,波長532nmよりも増加し,その増加数は干渉縞の理論と一致する. また,今年度は,当初計画より波長の短い355nmでの実験を実施し分解能の高い実験が可能となった. 以上のように,PDI法の翼型流れへの適用と,異なる波長によるPDI光学系による翼型実験について成果が得られ,研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
1.波長355nmのPDI光学系による高分解能翼型流れの空力試験 2.境界層空力制御装置(プラズマアクチュエータなど)を持つ翼型流れの特性解明
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗により光学部品を再検討し差額が生じたので,風洞試験において計測分解能を向上させるための圧力センサーの購入を計画している.
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