研究課題/領域番号 |
17K06967
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 太氏 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70432854)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ディープラーニング / ディープニューラルネットワーク / 作業観測 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
造船所における作業は現場の作業長などの経験により管理されており、作業の進捗は、場所では作業区、時間では一日単位など粗い単位で管理されており、定量的な把握が十分でない場合が多い。一方、造船所での作業観測は、従来では作業観測シートやビデオカメラを用いた目視による作業観測が行われている。目視による作業観測は観測に時間・負担がかかることが課題である。代表者らはビデオ画像を用いた造船所における作業観測法・作業評価法を検討すると共に、ビデオ画像の作業観測の自動化についても検討してきた。本研究では、近年、画像識別への適用限界を超えた機械学習の手法、ディープ・ラーニング(深層学習)を用いて、ビデオ画像の識別の自動化による作業観測法と作業評価法を検討する。 前年度までにディープ・ラーニングにおける教示データの構築法と識別できる作業数の増加に必要なニューラル・ネットワークの構築に必要な教示画像の分類法について検討した。教示データについては、過去の作業観測のデータの利用を考慮し、作業現場を俯瞰的に撮影したビデオの代わりに作業者のヘルメットに装着した作業者目線のビデオ画像を用いた。教示データの構築法については、画像が表す作業の画像コンテンツの定義がニューラル・ネットーワークによる識別率の向上に有効であることを確認し、識別対象の作業を増やした際の課題を整理した。また、識別する作業数の増加に対応するニューラル・ネットワークの構築については、他の作業の画像コンテンツに影響を受けにくい教示画像の分類法を検討した。今年度では、識別対象の作業を増やした際の課題である、画像コンテンツの再定義が必要になるジレンマへの対策として、画像コンテンツの定義方法を検討し、少ない教示画像データ数でも高い識別率を得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ディープ・ラーニングを用いたビデオ画像の識別の自動化による作業観測を目標に、ディープ・ラーニングで用いるニューラル・ネットワークの構築に欠かせない、ニューラル・ネットワークに与える教示データの構築法と分類法について検討している。教示データにおいて画像コンテンツの定義が有効であることを確認している。一方で、識別する作業数を増やした時に、画像コンテンツの定義が再度必要になる場合があることがわかったが、画像コンテンツの定義方法を見直した。一方で、識別する作業数の増加に対応するニューラル・ネットワークの構築については、他の作業の画像コンテンツに影響を受けにくい教示画像の分類法の検討も行った。全体の計画においておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ビデオ画像の識別の自動化による作業観測では、他の作業者や作業現場への展開も必要となるため、前年度検討した画像コンテンツの定義法について、他の複数の作業者の画像への適用と課題を検討している。次に、俯瞰的に撮影した作業現場のビデオ画像の識別についても検討している。作業現場の画像から作業者の画像の抽出、抽出された作業者の画像から作業情報の抽出、抽出された作業者の画像の位置から作業現場での位置の推定を検討する。一つ目の作業者の画像の抽出では、自動運転等の開発で研究されている物体検出のアルゴリズム等の利用を検討している。二つ目の画像からの作業情報の抽出は画像コンテンツの定義法を元に検討を行う。三つ目の作業者の位置の推定は、代表者らが従来の研究で行った画像データ解析による作業者の位置情報による作業評価法の検討を元に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
従来の予算案ではディープ・ラーニング用のワークステーションの購入を予定していたが、教示画像の画像コンテンツの定義などの検討を先行して進めた。俯瞰に撮影したビデオ画像の識別では、より高い処理能力が求められるため、次年度に性能がより向上したワークステーションを購入する予定である。
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