PM計測における排気導入管の改良を、本研究の目的とする。加振器や舶用ディーゼル機関で発生する振動を利用し、排気導入管に振動に起因した衝突を起こさせ、排気導入管内に沈着した粒子の再飛散を促進し、沈着と再飛散を相殺することにより損失を防ぐ方法を提案し、研究してきた。 炭素粒子発生装置で発生させた粒子を排気導入管で使用するステンレス管に流し、このステンレス管に衝突を加えて沈着や再飛散の様子を観察する実験を行ってきた。前年度までの実験条件では、相殺が可能な条件は見つからなかった。本年度は、振動発生装置の出力を最大にして衝突させる実験を行ったが、再飛散量は多くなかった。一方、管内流量を増大させることで得られる再飛散は、衝突を加えるより容易であることが分かった。再飛散した粒子の粒径を、PALAS GmbH製の粒径計測装置で計測したところ、凝集した粒子であることが観察された。 沈着した粒子は、その後のPM計測に悪影響を与える可能性があることが、これまでの結果から分かった。したがって、相殺できないのであれば、沈着粒子を除去する方策が必要と考え、排気導入管に沈着した粒子を、管内の流量を上げることにより除去する方法を検討した。これをPM計測の手順に組み入れるとともに、検討の過程で、沈着を促進する可能性がある計測手順を見つけ、これを回避するために発案した排気導入管を試作した。 今年度、排気導入管などの改良の効果を検証するために必要な、2台のPM計測装置を比較した論文が、学会誌に掲載された。これに関連した口頭発表も行った。2台のPM計測装置に、上で述べた手順や試作に関連した改造を施した。手順や試作排気導入管の効果を検証する実験は、実験機関の故障のため行えなかった。
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