研究課題/領域番号 |
17K06981
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
坂上 寛敏 北見工業大学, 工学部, 助教 (70271757)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | メタンハイドレート / ガスハイドレート / 炭素安定同位体組成 / 水素安定同位体組成 / 比表面積 / ガス交換 |
研究実績の概要 |
天然に存在するガスハイドレートの産状と起源を解明する上で,ガスハイドレートに包接されている炭化水素ガスの組成・同位体比分析は重要な情報を提供する。ガスハイドレートの結晶成長は相変化であり,安定同位体分別の存在が予想される。しかしながら,炭化水素を含むガスハイドレートの生成に伴うゲスト分子の安定同位体分別に関する研究報告例は極めて少ない。本研究は,種々の温度および圧力条件において人工ガスハイドレート生成を行い,相変化が包接炭化水素分子の水素および炭素同位体組成に及ぼす影響を調べると共に,包接分子と気相分子の交換に及ぼす表面積の影響を調べることに重点を置いている。 平成30年度も引き続き,単一成分で特にメタンを用いた系について,下記の項目について実験を行い,データの蓄積を行った。 ・包接分子と気相分子の間のガス交換速度の測定について,人工的にガスハイドレートを生成し,気相を別の安定同位体組成のものにそっくり入れ替えることにより,包接分子と気相分子の交換過程の時間変化について検討した。比較的短期間で包接と気相と相の間のメタンが交換していることが明らかとなった。また,人工メタンハイドレート生成後から交換を行うまでの静置時間と共に交換速度が変化している傾向が見られた。 ・氷/ガスハイドレート多孔質体の比表面積測定技術の改良について,連携研究者の八久保晶弘氏(北見工業大学工学部)の協力により,ガス吸着法による比表面積測定技術をガスハイドレート多孔質体に応用し,上記のガス交換速度測定の実験のルーチン測定に組み込み,メタンハイドレート多孔質体の比表面積測定を合わせて行いデータの蓄積を行った。エタンを用いた系については,比表面積測定の可能性について検討を行い,測定の可能性を見出したので今後もデータの蓄積を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度までに実施した研究により,メタンを用いて生成した人工メタンハイドレートの気相を異なる安定同位体比のメタンに置き換え,ゲストガスの同位体組成に及ぼす影響に関するデータの蓄積ができた。また,炭化水素のうちメタンを含む人工ガスハイドレートの生成に伴うゲスト分子の安定同位体分別に関するさらなるデータの蓄積ができた。令和元年度以降の研究により,包接炭化水素分子と気相炭化水素分子の交換挙動の詳細を明らかにすることができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については,引き続き平成30年度までの研究計画を継続しつつ,エタンなどメタン以外の系についても検討を行う予定である。また,可能であれば天然のガスハイドレート試料を用いた実験にも着手する予定である。 ・気相分子と包接分子間のガス交換速度の測定として,メタンだけではなくエタンなど他のゲスト分子についても同様の実験を行い,ゲストガス交換過程の時間変化を明らかにする。メタンを用いた系については,今後も同様に交換速度に及ぼす比表面積の影響についての検討を行う。エタンを用いた系については,比表面積測定の可能性が見出されたので,今後も比表面積についての検討を進めデータの蓄積を行う予定である。 ・ゲストガス安定同位体分別の温度・圧力依存性の解明について,今後はメタンだけではなく,エタン・プロパンなど他のゲスト分子についても同様の実験を行い,ゲストガス安定同位体分別を調べる予定である。 ・天然ガスハイドレートのゲストガス交換実験について,研究代表者の研究グループでは,2001年よりロシアと韓国の各研究機関との国際共同研究体制を維持し,オホーツク海サハリン島沖およびロシア・バイカル湖にて天然ガスハイドレート調査を継続している。これらの地域では,水底下僅か数m深の堆積物中にガスハイドレートを産し(表層型ガスハイドレート),重力コアラーを用いた天然ガスハイドレート含有堆積物の採取が容易である。サンプルは液体窒素温度で日本に空輸され,結晶解析が行なわれている。現在も液体窒素温度で保存されている貴重な天然結晶を用いた実験的研究に着手する。天然結晶を耐圧容器に封入し,安定同位体比の分かっているメタンガスで加圧後,水底を模した温度圧力環境(+1℃・10MPa程度)におき,既に測定済みである天然結晶中のゲストガス同位体比からどの程度変化するか,を調べる予定である。
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