研究課題
令和元年度に行った研究は、以下の通りである。1)菱刈鉱山の山田鉱床の石英脈を対象として、研磨片の作成と顕微鏡観察、SEM-EDSによる鉱石鉱物の観察と化学組成分析、年代分析データに基づく熱水活動域の移動方向の解析、粘土鉱物の同位体分析データ・流体包有物マイクロサーモメトリー分析とガス組成データの解析を行い、深部の鉱化ポテンシャルについて考察を行った。2)インドネシア、西ジャワのPongkor浅熱水金鉱床で現地調査と試料採取を行い、室内実験として顕微鏡による石英の組織観察、流体包有物マイクロサーモメトリー分析とガス化学組成分析データに基づき、鉱化ステージの違いによる熱水流体の特徴の変化を解析した。3)ラオス・中央部のPhon Tiu - Ban Boneng錫鉱床地帯の錫鉱化作用に関係する石英脈中の流体包有物のマイクロサーモメトリー分析とガス化学組成に基づく鉱床形成モデルの考察を行った。4)北海道北部の雄武地域および雄武威鉱床を対象に地質調査を行い、シリカシンター、試錐コア中の石英脈と変質岩を対象に顕微鏡観察、全岩化学組成分析を行なった。また、歌登浅熱水金鉱床の鉱床形成条件と深部鉱化ポテンシャルに関わる解析を行った。5)秋田県の尾去沢鉱山の鉱脈中の流体包有物マイクロサーモメトリー分析を行った。6)フィリピンのLepanto Enargite、Kay Tanda鉱床、Southwest斑岩銅金鉱徴地の鉱石試料について、流体包有物マイクロサーモメトリー・ガス組成分析データおよび安定同位体データの解析を行った。7)インドネシア・東ジャワの斑岩銅鉱徴地の全岩化学組成分析と硫黄同位体分析を行った。8)タイ・Sukhothai褶曲帯において採取した石英脈中の流体包有物の顕微鏡観察を行った。9)ボツワナ・Mowana銅鉱床、および、10)モザンビークの金鉱徴地の流体包有物分析を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度に予定していた研究対象の金属鉱床の調査をほぼ終える事が出来た。タイ・スコータイ褶曲帯のアンチモン鉱床が研究対象に加わった。2件の論文投稿を行い、4件の論文が受理された。流体包有物ガス組成分析の一部は、新型コロナウイルスの影響によるラボの閉鎖によりペンディングとなっている。
インドネシア・東ジャワのTasikmadu斑岩銅鉱徴地、フィリピンのSouthwest斑岩銅金鉱徴地、タイ・Sukhothai褶曲帯の熱水鉱床、ボツワナ・Mowana銅鉱床、北海道雄武町の金鉱床などを対象に室内実験とデータ解析を行い、論文投稿を目指す。硫砒銅鉱や輝安鉱物に含まれる流体包有物を観察・分析するための近赤外領域CCDカメラの導入を検討する。
当初計画に加えて研究対象に加えた鉱床・鉱徴地の研究を実施するために研究期間を延長した。そのための研究経費として、旅費(鹿児島県と北海道北部の地質調査)、研究機材購入費(近赤外CCDカメラ・他)、消耗品購入費(薄片作成消耗品類、液体窒素、分析ガス・他)、論文投稿費(ページ超過料金)を見込み、次年度使用額が生じた。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件) 学会発表 (20件) 備考 (1件)
Ore Geology Reviews
巻: 114 ページ: In printing
10.1016/j.oregeorev.2019.103134
Resource Geology
巻: 70 ページ: In printing
10.1111/rge.12214
巻: 69 ページ: 351-384
10.1111/rge.12205
巻: 69 ページ: 402-429
10.1111/rge.12211
http://www.gipc.akita-u.ac.jp/~kinsho/TOP.html