研究課題/領域番号 |
17K06982
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高橋 亮平 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (10396286)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 熱水鉱床 / 流体包有物マイクロサーモメトリー / 流体包有物ガス組成分析 / 菱刈鉱床 / 北海道雄武町鉱床探査プロジェクト / 南薩型鉱床 / Lepanto Enargite鉱床 / Pongkor鉱床 |
研究実績の概要 |
令和2年度に行った研究は、以下の通りである。1)インドネシア、西ジャワのPongkor浅熱水金鉱床の石英脈の全岩化学組成、流体包有物マイクロサーモメトリー分析、ガス化学組成分析データの取りまとめを行なった。東ジャワのTasikmadu斑岩銅鉱徴地の全岩化学組成分析、流体包有物マイクロサーモメトリー分析、硫黄同位体分析、Kumbokarno浅熱水金鉱徴地のデータ取りまとめと投稿論文の執筆を行なった。2)北海道北部の雄武地域および雄武威鉱床を対象に地質調査を行い、シリカシンター、試錐コア中の石英脈と変質岩を対象に顕微鏡観察、全岩化学組成分析、石英のカソードルミネッセンス分析とEPMA分析、硫黄同位体分析を行なった。3)新潟県・佐渡金鉱床の全岩化学組成、鉱物化学組成、流体包有物、安定同位体のデータ取りまとめを行なった。4)フィリピンのLepanto Enargite鉱床、Southwest斑岩銅金鉱徴地の研究データの取りまとめと論文執筆を行なった。5)タイ・Sukhothai褶曲帯において採取した鉱石試料の硫黄同位体分析を行った。6)鹿児島県の菱刈鉱床、錫山鉱床、南薩型鉱床で地質調査を行い、顕微鏡観察、全岩化学組成分析、石英のカソードルミネッセンス分析とEPMA分析、流体包有物分析、硫黄同位体分析を行なった、7)ボツワナ・Mowana銅鉱床の安定同位体分析を実施し、これまでのデータ取りまとめと論文執筆を行った。8)モザンビークの複数の金鉱徴地の硫黄同位体分析、流体包有物分析データの取りまとめと論文執筆を行った。 以上の研究活動により流体包有物と各種同位体分析のデータと鉱化作用の特性の関係が明らかになりつつある。一部の研究対象では流体包有物が観察されていない金属鉱床があるが、関連する実験手法を適用することにより鉱床の形成条件とプロセスが明らかになった。このほか新規対象を含めて複数の鉱床で地質調査を行ったので、次年度、室内実験を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度はコロナ禍のために国内外の地質調査の一部を実施することが出来ず、室内実験やデータ解析を行うことが出来ない期間が長く続いたため。これにより学術誌への論文の投稿にも遅れが出た。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに蓄積したデータの解析を進めて、学術誌に論文投稿することに重点を置いた研究を進める。令和2年度に新たに地質調査を行い試料採取をした研究対象の鉱床については、室内実験を行い、新しい分析手法も取り入れつつ、鉱床形成条件とプロセスを明らかにするための研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、近赤外顕微鏡CCDカメラを購入する予定であったが、検討していた機種が販売停止になり、そのほかの機種では予算が不足することが判明した。このため投稿論文のページ超過料金や実験に用いる消耗品などの用途に予算を使用しようとしたが、コロナ禍により研究活動を十分に行うことが出来なかった。これまでに蓄積した研究試料やデータを有効に活用するために研究期間の延長を判断した。
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