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2022 年度 実績報告書

タングステン中の空孔型欠陥による水素捕獲とその水素による成長促進効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K06993
研究機関九州大学

研究代表者

大澤 一人  九州大学, 応用力学研究所, 助教 (90253541)

研究分担者 外山 健  東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50510129)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード核融合材料 / タングステン / 空孔 / 第一原理計算 / 水素 / 不純物 / ヘリウム
研究実績の概要

本研究の目的は核融合炉材料として利用が予定されているタングステンとそこに形成される空孔および空孔集合体に関する研究である。タングステンは融点が高く、水素溶解度が低い、などプラズマ対向材料としては優れた特性を持つ。しかし、照射環境下では空孔や空孔集合体が材料内に形成される。これらの空孔型欠陥には水素同位体やヘリウムが捕獲されることが指摘されており、本来期待されている材料特性に悪影響があることが懸念されている。
また、エネルギー計算によると、単原子空孔(V)よりも二原子空孔(V2)の方が不安定である。そのためどうして単原子空孔が集まって二原子空孔、さらにはもっと大きな空孔集合体に成長していくかという基礎的な疑問があった。本研究では密度汎関数法に基づく第一原理計算を使ってこの問題の解明を試みた。
まず、V2を安定化させる要因は不純物であることがわかった。不純物とはプラズマ由来の水素同位体やヘリウム、および金属を精錬する段階で微量ながら金属内に残る、炭素、窒素、酸素、などがある。計算によるとこれらの不純物によってタングステン中のV2は安定化することが明らかになった。特にタングステンの中を素早く拡散することができる酸素が空孔クラスターの安定化に最も貢献していると結論した。
今年度は、タングステンと同じBCC構造を持つ鉄中の空孔集合体の研究も行い、両者の安定構造を比較した。両者のV2の安定構造はタングステンが空孔の<111>配置、鉄は<100>配置で異なる。しかし、それよりも大きな空孔集合体ではV3からV10まで同じ構造をしていた。違いが見え始めるのは11個の空孔で構成されるV11からだった。また、タングステンおよび鉄の空孔に捕獲される複数個のヘリウムの構造を調べた。ヘリウムの個数が少ない時はお互いに距離をとるように同じ構造をする。しかし、空孔中のヘリウムが6個の構造は違っていた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] 鉄空孔中のヘリウムと銅の析出シミュレーション2023

    • 著者名/発表者名
      大澤一人、徐ギュウ、渡邊英雄
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] タングステン空孔クラスターの安定構造と不純物との相互作用2023

    • 著者名/発表者名
      大澤一人、徐ギュウ、渡邊英雄
    • 学会等名
      IFERC-CSC研究会
  • [学会発表] BCC金属中の空孔クラスターの安定構造2022

    • 著者名/発表者名
      大澤一人、徐ギュウ
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] タングステン-レニウム合金中の水素のエネルギー準位や拡散に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      大澤一人、渡邊英雄、波多野雄治
    • 学会等名
      IFERC-CSC研究会
  • [学会発表] 鉄中の空孔と銅原子の相互作用およびヘリウムの影響について2022

    • 著者名/発表者名
      大沢一人、藤井聖大、徐ギュウ、渡邊英雄
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] タングステン空孔中のヘリウムと不純物との相互作用2022

    • 著者名/発表者名
      大澤一人、徐ギュウ、渡邊英雄
    • 学会等名
      材料照射研究会

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公開日: 2023-12-25  

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