研究課題
プラズマ乱流内の非線形結合により生成されるメゾスケール構造は輸送に大きな影響を与えるため、その構造の研究が重要視されている。九州大学の直線プラズマ乱流実験装置(PANTA)では、周方向64チャンネルプローブ(測定半径4 cm、径方向位置1.885 m)をはじめとした多チャンネル静電プローブ計測により、メゾスケール構造の一種で径方向輸送を増大するとされるストリーマーの構造解析が行われている。従来までの研究では周方向プローブによる揺動の計測結果を周方向モード数に分解し、周方向モード数のマッチング条件を満たす組み合わせを抽出してから周波数空間でバイスペクトル解析を行い、媒介波や搬送波といったモード間の非線形結合を調べていた。本研究では逆に、ある時刻でのタイムスライスを抜き出してから周方向空間でのバイスペクトル解析を行った。結果、従来では分からなかった周方向モード数内でのモード間非線形結合が明らかになり、周方向モード数の組み合わせによってはストリーマー構造の形成に寄与せず、周方向の自己収束構造の幅を広げるような非線形結合を行う搬送波の存在も明らかとなった。また、ストリーマーの自己収束構造の詳しい包絡線波形は、コンディショナルアベレージと呼ばれる平均化の手法によっても明らかになった。直線装置PANTAではストリーマーと、径方向輸送を抑制するとされるゾーナルフローとが同時に観測された。両者はドリフト波が存在する領域で共存し、時間的にはドリフト波を食い合い競合していることが分かった。数値計算での予測通り、中性粒子ガス圧が選択則に重要な役割を果たし、中性粒子ガス圧を増加させることでゾーナルフローが減衰し、ストリーマーが増大した。
3: やや遅れている
ストリーマー構造の解析結果によりストリーマーの詳しい構造やモード間非線形結合、ゾーナルフローとの共存が明らかになったことは順調であるが、新たに軸方向シアフローの影響を調べることが重要であることが判明したため、直線プラズマ装置に設置する新プローブの再設計を行った。そのため新プローブの設置は予定よりやや遅れている。
直線プラズマ装置に新プローブを設置し、解析結果次第でさらにプローブを追加で設計・設置する。軸方向シアフローがストリーマーに与える影響のほか、ストリーマーのさらなる構造の詳細やゾーナルフローとの共存関係、バイアス電圧印加による動的応答などを探る予定である。
乱流の構造形成に軸方向シアフローが与える影響を調査する重要性が高まり、直線プラズマ装置に設置する新プローブの設計の見直しが必要になったため。
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Physics of Plasmas
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