研究実績の概要 |
(1)金属へのヘリウム(He)効果の重要性に鑑み、非金属の単結晶シリコン(Si)へのHe効果を表面形態観察のみならずダイオード形成も行った。太陽電池として有効な光吸収特性を有する黒色化Siの形成はHeのSiに対する運動論的スパッタリング過程(入射角度・温度依存性あり)と結論付けた。本成果は国際誌Applied Surface Scienceに掲載済み。 (2)タングステン(W)ファズ形成物理機構解明の鍵の一つと考えられる結晶性と結晶面方位分布を、電顕による電子線回折パターンとX線回折(XRD)強度分布により得た。またファズのみをキャピラリーに充填した粉末XRDに成功、散乱強度の面方位分布はアルファ相Wに近く、異なる面方位の存在がファズの幾何学的複雑性を生むという仮説を提案した。初期結果は本学の紀要(和文)に、完成版(英文)は国際誌Materialiaに掲載済み。 (3)完全黒体に近いWファズ構造が高温で消失するのを阻止し高い放射特性を維持するためにはドープ材(TiC, K, ThO2, Re)の付加及びW表面へのLIPSS(Laser Induced Periodic Surface Structure)形成の両面より調査を継続した。 (4)準大気圧Heアーク放電プラズマにW板を置くことにより、ファズと類似の黒色化ナノ構造が得られた。この研究は兵庫県大菊池祐介准教授(連携研究者)、(株)ユメックスとの共同研究により得られた。表面はWナノ粒子連鎖の構造を持つ。本結果はJournal of Physics D: Applied Physics に掲載済み。 (5)パルス熱負荷によるWの溶融と蒸気遮蔽効果に関連して、プラズマ運動量によるW箔の機械的振動を観測し、片持ち梁モデルによる周波数と比較した。本結果は本学研究報告(英文)に掲載予定。
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