研究課題
昨年度までの研究結果により,先進的ろう付接合法で製造した小型のW/BNi-6/GlidCop(ODS-Cu)製ダイバータ受熱機器試験体が,~24MW/m^2の定常熱負荷に耐えられることが確認された.W/BNi-6/GlidCop(ODS-Cu)接合接手(以下,W/GlidCop接合接手)の優れた機械的特性は,WとGlidCop接合界面のGlidCop側で,界面からの距離100~700マイクロメートルの領域で極端な軟化層が発生していることに起因することがわかった.この軟化層が残留応力や熱応力を吸収するクッションの役割を果たすことで,W/GlidCop接合接手が靭性を獲得できていると考えられる.以上の実験的事実に基づき,先進的ろう付接合法を用いて大型のW/BNi-6/GlidCop(ODS-Cu)製ダイバータ受熱機器試験体であっても問題なく製造できると判断し,2019年度は,実際にGlidCopヒートシンクに20mm×20mm×5mmのタングステン(W)ブロック28枚を同時に接合する大型試験体の製造を行った.その結果,1回目の製造試験で製造に成功した.本試験体への熱負荷試験は2019年度に実施できなかったが,近日中に行う予定である.一方,当初予定していなかった研究の進展としては,GlidCop同士あるいはGlidCopとステンレス鋼等各種金属との接合を,先進的ろう付接合法を用いることで,流体漏れの無いリークタイト条件で実現することに成功した.GlidCop同士あるいはGlidCopとステンレス鋼の接合接手はマイクロスケールの溶接に近い接合品質であり,この継手を利用することでダイバータ受熱機器のヒートシンクに自由な冷却流路を成形させることが可能となり,ダイバータ受熱機器の冷却性能向上に貢献できる可能性がある.
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