重水素核融合反応で生じるトリチウムをトレーサーとして用い、4年間にわたり大型核融合試験装置内の水素同位体挙動を評価した。その結果、次のことが明らかになった: 1.生成されたトリチウムの56%が真空容器内に残留した。2.真空容器内からのトリチウム放出は、同位体交換反応と材料中トリチウム拡散が律速であった。3.排出されたトリチウムの化学形態は、分子状>>炭化水素状>水蒸気状であった。4.赤外吸収分光法による排気ガス組成分析から、重水素化炭化水素(CxHyDz)や一酸化炭素、アンモニアの存在が確認された。本研究により、核融合システムにおけるトリチウム収支や、複雑な排気ガスの挙動を明らかにした。
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