研究実績の概要 |
近年の癌の放射線治療では高い位置精度および線量精度、さらに三次元的に線量評価を行うことが求められている。そこで注目されているのが人体の軟部組織と等価の密度及び化学組成を有し、また放射線により生じる化学反応を三次元的に保持することができるゲル線量計である。昨年度までに蛍光プローブを含んだ水溶液に対してさらにゲル化剤を加えることで、放射線が照射された領域の分布・位置情報を保ったゲル線量計の報告している。ゲル化剤にナノクレイを使用することで感度が上がり、またカチオン性の蛍光色素では照射後の生成物の拡散が抑制されることが明らかになっている。本年度はカチオン性の蛍光プローブであるジヒドロローダミン123 (DHR)を新規にゲル線量計に利用することを検討した。結果、照射後7, 8, 9, 10, 73日の測定結果から、拡散が止まっていることや線量増加に応じた蛍光強度の増加を確認できた。また、二次元解析用の容器に対して不均一な照射を行い解析したところ、同じゲル中でも線量の違いがはっきりと判り線量応答性も確認できたため、二次元での線量評価が可能であることがわかった。
|