研究課題/領域番号 |
17K07026
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤野 貴康 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80375427)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | MHD発電 / 出力変動補償用電源 / 非平衡プラズマ / 電磁流体シミュレーション |
研究実績の概要 |
太陽光/風力発電の大量導入時における電力安定供給の実現は喫緊の課題であり,火力発電には高効率のみならず電力需給ギャップの調整電源としての高い負荷追従能力が求められている。本研究で対象とする希ガスMHD発電機は,機械的可動(回転)部をもたず作動気体のエネルギーを直接電気エネルギーに変換することから,既存の火力タービン発電機とは異次元の負荷追従能力を発揮する可能性がある。 本研究では,電磁流体解析技術を駆使して,希ガスMHD発電機の高速負荷追従能力を定量的に把握するとともに,再生可能エネルギー電源大量導入時の数秒周期の激しい負荷変動への希ガスMHD発電機の追従可能性を見極めることを目的としている。
今年度は,当初研究計画に従って,熱入力1000 MW級の商用規模MHD発電機(流路形状・運転条件)に対し安定定格運転をもたらす外部電力系統接続システムの回路定数を見出すことを試みた。その結果,発電機単体の目標定格性能であるエンタルピー抽出率30%,等エントロピー効率80%以上を保ったまま安定に発電機が動作可能な回路定数が見出された。ただし,実質的な影響はないものと予想されるが僅かながら発電出力に周期的な変動が観られ,また,その変動と同期した発電機内のプラズマ諸量の変動も観測された。これらの変動は,MHD発電機内のプラズマの不安定性が引金になっているのではなく,接続電力系統側(交流側)のインバーターのスイッチングに起因している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に概ね従って研究を進めることができているため,進捗状況は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も当初計画に従い,再生可能エネルギー電源大量導入時のサブ秒周期程度の負荷変動時の出力調整を希ガスMHD発電機で行うことを想定し,同発電機の負荷追従能力と出力制御システムの運用方法について数値解析から検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は海外出張(国際会議)に変更が生じたこと,また,計算機の保守管理物品も当初想定していたよりも少なく済んだことによる。その一方で,次年度は,国際会議で発表する機会が複数回予定されており,その出張旅費を翌年度請求助成金と「次年度使用額」で賄う予定である。また,次年度の研究計画を効率よく遂行するために,計算機環境の充実にも「次年度使用額」の一部を充当する予定である。
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