研究課題/領域番号 |
17K07027
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小倉 裕直 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40253554)
|
研究分担者 |
廣瀬 裕二 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60400991)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ソーラーケミカルヒートポンプ / 太陽熱 / 化学蓄熱 / 冷凍 / 熱媒 / 冷媒 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、前年度得た知見を基に、まず3.冷凍まで可能なソーラーケミカルヒートポンプにおける太陽化学蓄熱および冷凍冷熱生成に最適な熱交換方式および制御方法を装置実験および理論解析により検討した。 1.で検討した化学蓄熱に向けた集熱効率の高い集熱方法および制御方法に連動して、研究分担者と共に熱交換媒体を開発して、熱交換方法を検討した。1.における集熱方法にもよるが、基本的には化学蓄熱反応材料にはオイル等による蓄熱熱交換を行った。この場合、より安全かつ低粘性かつ高伝熱性の熱交換媒体の開発を行い、熱交換方式を検討した。その後熱交換器を製作して、適宜デザイン変更を行うと共に制御法も検討して熱交換効率の向上を図った。 一方で、4.冷凍まで可能なソーラーケミカルヒートポンプにおける太陽化学蓄熱および冷凍冷熱生成に最適な水溶液および調製方法についても、低温低圧で作動する気液相変化媒体として研究代表者は先の研究成果においてエチレングリコール水溶液の検討を行って-20℃レベルまでの冷熱生成を実証した。本研究では、各種可視化蒸気圧測定装置を製作し、これを用いてより低温低圧で作動する気液相変化媒体として、ナトリウム塩等の式量の小さな電解質や水溶性イオン液体等の蒸気圧が極めて小さなものをエチレングリコール水溶液に加えることにより、凝固点の低下を図った新規作動媒体の開発を研究分担者と進めた。 さらに1-4を必要に応じてフィードバックをかけながら進めた後に、5.冷凍まで可能なソーラーケミカルヒートポンプにおける太陽化学蓄熱駆動に最適なケミカルヒートポンプデザインおよび運転方法の検討を平成31年度へ向けて実験および理論解析により進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デザイン変更と天候依存の試験の繰り返しのため、より進んだ部分とそうでない部分とある。 低温低圧で作動する気液相変化媒体の検討については、想定より多い種類を検討できている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、1-5を受けて、太陽熱駆動ケミカルヒートポンプに太陽光発電による熱媒駆動を組み込んだ最終型の6.冷凍まで可能なソーラーケミカルヒートポンプによる完全独立型高効率太陽エネルギー駆動冷凍・冷暖房・給湯システムの構築および運転評価を行う。 1-5.の成果にフィードバックをかけつつ、最適化されたケミカルヒートポンプデザインのものに、安全かつ最適化された熱媒循環等のために必要となるサブエネルギー発電・蓄電システムを組み合わせた場合の完全独立型高効率太陽エネルギー駆動冷凍・冷暖房・給湯システムを設計、製作する。本試作機を稼働させ、年中通して各種条件下において運転評価を行う。 この場合、ケミカルヒートポンプ性能の基本となる蓄放熱特性すなわち蓄放熱温度、蓄放熱出力等はもちろんであるが、高効率太陽エネルギー駆動冷凍・冷暖房・給湯システムとしてその駆動可能条件、エネルギー効率、COP、ランニングコスト等、ヒートポンプ機器として重要となる各種性能を導き出す。 これらのケミカルヒートポンプを基本とした最終的な製品形状まで最適化されたシステム的検討は、このような化学蓄熱を基本とした次世代システム発展のためには重要な点であるが、ケミカルヒートポンプ本体の作動の検討に比べて後回しにされてきた重要な点であり、本研究により低炭素社会へ向けたケミカルヒートポンプの実用化へ向けたブレークスルー的成果を目指す。
|