研究課題/領域番号 |
17K07029
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
遠藤 宣隆 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (40314819)
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研究分担者 |
比嘉 充 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30241251)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電気化学合成 / アンモニア / 常温電解 / ガス拡散電極 |
研究実績の概要 |
アンモニア合成の報告例があり、燃料電池研究で十分に使用実績のあるNafionを電解質膜および接着剤(イオノマー・バインダー)として燃料電池と同様の膜電極接合体(MEA)を作成し、水素または水から生成した水素イオン(液相)と窒素(気相)からアンモニアの合成を検討した。 Nafion膜と市販の燃料電池用電極シートを用いてMEAを作成し、硝酸イオンを含む溶液と水素ガスを装置内の各電極部に供給して電解実験を行った。事前のLSV測定より、+0.4V vs RHE近傍にて硝酸イオンの還元反応が生じることが確認された。そこでpH7.8、硝酸イオン濃度1.0×10^(-4) mol/Lの溶液を1.0 ml/minで系内に供給し、電解実験を行った。溶液は循環させ、循環後の溶液中の硝酸濃度およびアンモニア濃度を測定した。その結果、印加電位を+に振ることで硝酸イオンの減少量は増加し、+0.8Vの印加電位において、硝酸イオンは約20%減少することが確認された。アンモニアは検出されなかった。 改修を行った本装置による電解については問題ないことが示された。アンモニアが検出されていないのは、電極に白金電極を使用しているため、水素生成および硝酸還元による窒素生成が優先されているためと考えられる。窒素・水素ガスを供給した反応系はアンモニア生成が確認されているため、ガス供給系への移行を速やかに行い、MEA の作製条件によるMEA の構造への影響と、アンモニア生成効率への影響を解析し、MEA 内部における物質移動等の観点からのメカニズム解析を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガス供給系を目的とした装置改修が遅れたため、サブプランであった電解液-ガス供給系における実験を先行して実施した。どちらも電極部分の構造はほとんど同じであるため、燃料電池評価装置を改修して電解装置として行った実験において、電解装置として問題なく動作していることが確認されたため、大きな問題はないと考えられる。また、硝酸イオンおよびアンモニアの検出についても問題なく行われた。暫定的に使用した白金電極はアンモニア生成には不利であることは既存研究より判明しているため、結果については予想された範囲内である。
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今後の研究の推進方策 |
膜電極接合体(MEA)による電解実験には問題はないため、市販電極に変わる触媒金属担持電極の作成と、水素および窒素ガスを供給するガス供給系における実験を進める。また、研究報告のあるイオン液体やチタン系触媒に関する調査を進め、本系への適用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付決定額が予定額より少なかったため、購入予定としていたイオンクロマトグラフィーの購入を見直し、吸光光度法による定量に変更した。その際に汎用性のある簡易測定器を選定したため、次年度使用額が生じた。この変更に伴い、測定時に専用の試薬が必要となるため、生じた次年度使用額は測定時に必要となる試薬購入費に充てる。
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