研究実績の概要 |
本研究は吸気管に供給した天然ガス(CNG)をバイオ燃料噴霧で着火するディーゼル二元燃料(DDF)機関に機械式過給と排気再循環(EGR)を適用するものであり,NOxとSmokeとのトレードオフに及ぼす着火燃料性状,CNG 供給率,過給適用の有無,およびEGR 率の影響を実験的に調査することを目的とする.令和元年度はこれまでの結果をふまえ,以下の研究を実施した. (1) 燃料噴霧の着火性の指標である「セタン価」を規定する標準燃料を用いて通常のディーゼル運転を行った結果,セタン価が40, 55, 70の標準燃料を適用した際の着火遅れの実測値とセタン価との間にはEGR率をパラメータとする正確な近似式が成立した.これより,次世代バイオアルコール混合燃料のセタン価を推定した結果,2種類のベース燃料(PLME:パルミチン酸メチルPMEとラウリン酸メチルLMEとの等質量混合,およびLME)の推定されたセタン価の差異は小さかったが,これらにバイオアルコールを混合した燃料ではその差異が大きく拡大した.本研究の結果をとりまとめジャーナルに投稿した. (2) ニートのPLME(推定セタン価66),イソペンタノール混合PLME(同48),およびイソブタノール混合PLME(同44)をDDF運転の着火燃料に適用した結果,いずれの燃料も過給とEGRを併用することによりNOxの大幅な低減が得られ,全EGR領域においてほぼ無煙状態での燃焼を実現することができた.供試機関のベースライン性能に比べると正味熱効率は約3%低下したが,DDF運転モードでのエミッション低減率はNOxが88~89%,Smokeは90~92%であった.本研究の結果をとりまとめジャーナルに投稿した.
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